第三十九話
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うか。
「さて、リズ。俺の話は終わりだ。こんな弱い俺だけど、まだ友達でいてくれたら嬉しい」
「当たり前でしょ!」
何を愚問な、とでもいいたげな笑顔のリズに感謝しつつ、俺は少し涙を流して即座に拭いた。
「なあリズ、少し頼みがあるんだが――」
そして、世間から《笑う棺桶〈ラフィン・コフィン〉》の存在が懸命に忘れ去られようとしている頃、俺はある層にマイホームを買った。
もうギルド《COLORS》の物真似をして、いくつもの層の宿屋を渡り歩くのは止めようと思ったのだ……少々値段は張ったものだが、なんとか足りたのは幸いだった。
ああ、ギルド《COLORS》の物真似は止めると言っても、傭兵稼業は止めないつもりだ……なんだかんだ言って最前線で戦うよりも、元々ゲーマーではない自分には向いていると思うからだ。
「……よし」
家にある姿見でざっと自分の姿を見ると、黒い和服の上に黒いコートといういつもの格好であることを再確認する……ある一部分以外は。
いつもと違うという点は、上着のコートの左胸ポケットがある部分に、アリシャの遺品である《カミツレの髪飾り》がついていることだ。
《笑う棺桶〈ラフィン・コフィン〉》討伐戦の終わった日、リズに頼んだことがこれだ――『この《カミツレの髪飾り》を防具につけることは出来ないか』、と。
始めて受けた依頼でリズも大分苦心した様子だったが、鍛冶スキルを少しは上げている俺も手伝い、サイズは小さいが、なんとか左の胸当てのようにすることに成功した。
もちろん、サイズが小さすぎて胸当ての体を成していないため、クラインからは『似合わねぇアクセサリー』呼ばわりされたものだが。
まあそれはともかく、慌ただしく準備をしているお隣さんに挨拶して、今日も依頼に向かうとしよう。
「今日もナイスな展開に、なると良いな……」
そう呟きながら、俺はお隣さん――《リズベット武具店》のドアを開いた。
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