第三十九話
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くフィールドに出れても、最前線の層に行く気にはどうしてもなれなかったこと。
「そんな時に出会ったのが、ギルド《COLORS》っていうギルドだった」
商人ギルド《COLORS》。
主に中層のダンジョンなどで活動しており、レアアイテムなどを入手しては攻略組に売りつけるということをしていた商人ギルド。
ひょんなきっかけから俺はそのギルド《COLORS》に入ることとなり、リーダーのアリシャから今も着ているこの黒いコートを貰った。
リーダーがお人好しだったおかげで、儲けを度外視して良く人助けとかもしていた。
ほとんど毎日のようにギルドの宿泊する宿屋も変えて、一定の場所に留まらないその奔放さは、俺も少し見習いたかった。
「だが、あの日……ギルド《COLORS》は壊滅した」
PoHを始めとするレッドプレイヤーたち……今の《笑う棺桶〈ラフィン・コフィン〉》の前身となった連中なんだろう。
それから俺は、リーダーのおかげでなんとか……一人おめおめと生き延びて、また《圏内》から出られなくなった。
「これがリーダーの……アリシャの遺品だ。あいつが死ぬ前に俺に渡してきた」
俺のアイテムストレージから《カミツレの髪飾り》をオブジェクト化させ、机の上のコーヒーの横に置く。
PoHとの戦いの際には決め手となったアイテムだが、遺品であった糸を使ってしまった今、もはや何にも使えない。
ソードスキルが使えないという件の時は、自分に話してくれなかったことを声高に文句を唱えたリズだったが、このギルド《COLORS》には何も言えないようで、でも何か言おうとして痛切な表情をしていた。
「俺はそれから、『強く』なって仇であるPoHを狙い続けた……だが、今回も逃げられた」
奴とは三度戦ったのだが仇はとれず、俺は否応なしに『弱い』のだと実感させられた。
「あんたは……弱くなんかない」
今まで沈黙を保っていたリズが、俺の弱いという実感の話を聞いてから口を開いた。
「あんたは弱くなんかない。強くなかったら仲間たちの仇なんて討とうとは思わないし、なにより……なによりあたしを助けてくれた! 一緒に行ったあのダンジョンで、ボスからあたしを助けてくれたじゃない……!」
今までならば、『助けてくれたなんて言わないでくれ』と返すところであるが、今は不思議と、リズのその言葉を受け入れられていた……リズに話して、少し吹っ切れたのだろうか。
「……ありがとう、リズ。そんな風に言ってくれて」
こんな話を聞いたことがある。
――『恐怖』を認めることが真の『勇気』であり、『弱さ』を認めることが真の『強さ』だと。
ならば、俺は今日ようやく、仇をとるために追い求めていた『勇気』と『強さ』を手に入れられたのだろ
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