第三十九話
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めることで、次のステップに進めるのではないのだろうか――あの、忘れたくとも忘れられない日から、一歩でも前に進めるのではないのだろうか――
「あの、そんなに言いたくないなら……」
「……いや、話そう。話す、べきなんだ」
落ちつくために一回深呼吸をした後、俺はリズに向けてとつとつと語り始めた。
「まずは……俺が、みんなとは別のシステムで戦っているところから話そう」
キリトが言うには、レベルという数字が全てを決める『レベル制RPG』ではなく、プレイヤー本人の力量がメインの『スキル制RPG』をやっているということ。
その影響から俺にはレベルというものが無く、レベル上げが不可能であること。
そして、この世界の一般的なソードスキルや戦闘用スキルはモーションが完璧でも発動すらせず、頼れるのは、俺が現実世界で学んだ技術しかないということ。
息継ぎをするのが目的で話は一旦ストップした為に、リズから質問が飛んできた。
「そんな状態で……何であんたはフィールドに出たの?」
「約束なんだ、仲間との」
以前の《圏内事件》の折りにもキリトと同じ質問をされたものだが、俺がフィールドに出るのは現実世界に帰るという約束を果たすためと、ギルド《COLORS》の意志を……いや、遺志を継ぐという一方的な約束があるからだ。
「それに! あたしだって鍛冶屋なんだから、言ってくれればソードスキルが使えなくても全く問題ないような剣が作れたかもしれないでしょ!」
……ああ、やはりこんな大切なことを言わなかったのは失敗だったらしく、かなりリズに怒られてしまう。
リズは俺の顔に指を指しながらそのことを指摘し、鼻をならしながらコーヒーを口に含んだ。
「悪い悪い、心配させたくなかったんだ。……それに、お前が作ってくれたこの刀は、充分以上にやってくれてるさ」
オブジェクト化させたままだった日本刀《銀ノ月》と足刀《半月》をポンと叩き、リズに作り直してもらった愛刀が信頼に値するものだと示す。
「その足刀っていうのも、ソードスキルが使えないからだったのね……あとで手入れするから、机の上に置いておいて」
はいはい、とリズの言葉に従って日本刀《銀ノ月》と足刀《半月》を装備状態から変更し、机の端に置いておく……さて、そろそろ息継ぎは充分であろうか。
「コーヒーのおかわりいる?」
「ああ、頼む」
リズが二人のコップに二杯目のコーヒーを注ぎ、一口飲んでまた俺は話を再開した。
「約束だなんて偉そうなことを言ってるが、俺がまともにフィールドに出れたのは最前線が22層にさしかかった頃なんだ」
それまでは、死ぬのが怖ろしくてまともにフィールドに出れずに第一層の田舎町に引きこもっていたこと。
ようや
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