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万華鏡
第十九話 ビーチその一
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                   第十九話  ビーチ
 五人はこの時電車、八条鉄道の青い電車の中にいた。
 五人一列に並んで七人用の席に座っている、その中で琴乃が言った。
「ねえ、今日の天気予報だけれど」
「ええ、晴れたわね」
「不安だったけれどね」
 景子と彩夏が応える。五人共礼儀正しく座っている。
「昨日まで凄い雨だったのに」
「台風みたいだったけれどね」
「もう一夏分は降った感じだったけれど」
「凄かったけれどね」
「ええ、晴れてよかったわ」
 琴乃はこのことに笑顔で応えた。
「本当にね。朝起きたら晴れてたから」
「降水量凄かったらしいわ」
 里香は実際に降った量を言った。
「何でも一夏分ね」
「実際にそれだけ降ったのね」
「ええ、朝ネットでそう記事に書いてあったわ」
 ネットのその記事にだというのだ。
「昨日一日でね」
「それはまた凄いわね」
「それで今は梅雨の最後の休みらしいわ」
「最後なの」
「もう一回大雨が来てそれで終わりみたい」
「ってまだ降るのね」
 琴乃はこのことを聞いて思わず苦笑いになった、昨日の大雨でもう充分だと思っていてそれで言ったのである。
「今年の梅雨は」
「何でも今年は梅雨に一気に降ってね」
「夏はどうなるの?」
「あまり降らないみたいなのよ」
 そうなるというのだ。
「夏はね」
「そうなのね」
「夕立は降るみたいだけれど」
「何か有り難い様な有り難くない様な」
「雨が降らないと冷えないからね」
「そうそう、町に熱気がこもるのよ」
 琴乃は腕を組んで言う。
「だからちょっと心配だけれど」
「いや、神戸はずっと涼しいからさ」
 美優は手を頭の後ろで組んで言った。
「全然さ」
「沖縄と比べて?」
「沖縄は凄いからさ」
 暑さが違うというのだ。
「もうな」
「そんなに違うのね」
「ああ、もっと暑いからな」 
 それが沖縄の夏だというのだ。
「神戸よりもな」
「沖縄だからよね」
 彩夏がこうその美優に言った。
「やっぱり」
「南にあるからさ」
「神戸とは全然違うっていうけれど」
「本当にこんなに涼しくないんだよ」
「涼しいの?今」
「ああ、涼しいよ」
 神戸はそうだというのだ。
「沖縄と比べたらずっとな」
「前が海だし」
 ここで景子はその目の前の青い海を見て言った。
「それに後ろは」
「山だからな」
 美優は後ろを振り向いてその山を見た。
「地形は縦には凄い狭いけれどな」
「それでもね」
「ああ、山から風もきて前が海でな」
「しかも縦に狭いのもよくて」
「ここは涼しいよ」
 美優はにこりとして四人に言った。
「その代わり冬は地獄だけれどな」
「美優ちゃん冬は駄目なの」
「あたし沖縄
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