第八話
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グレイドを見舞った時の事件のあともセルフィナさんは特に俺への態度を変えるでなく友好的に接してくれている。心の中はどうかわかりませんが、ほんとよくできた娘さんです。
あの駄目な人も見習うべき!
ドリアス伯爵が王都に上がってきてから時々、昼食の席に同席することがあったのだが、その日の朝に父上が言うには今日の昼には同席するとのことだ。
あの日以来、初めて伯爵と顔を合わせるわけだから、お前なんか言う事考えとけよ。ってことだな。
父上の配慮に感謝いたします。
昼になりドリアス伯爵と顔を合わせた俺は、型どおりの挨拶のあと精一杯丁寧に一礼し、心の底から伯爵に詫びた。
「先日はご息女のお力で大変助けていただきました。ありがとうございます。そして、その時に大変ご迷惑をおかけいたしまして申し訳ありませんでした。願わくばわたしをお許しいただければこれ以上の喜びはありません。」
事件のあとすみやかに王宮周辺のすぐ近くに建つ伯爵の居館を訪れたが伯爵は留守であり、用意してもらったお詫びの品とお詫びの言葉を伯爵の使用人に受け取ってもらってはいたが、やはり本人に直接伝える機会があるならそうするのが当然だろう。
ただ、文化圏によっては上流の地位にあるものがこのようなことをするのは無粋の極みであり、それぞれの代理人のみで済まし、当人達はただただ友好的な態度を崩さないのが礼儀ともする場合があったりもするそうだが、父上がわざわざ今朝に促してくれたのでレンスターの文化圏では問題は無いだろう。
「とんでもございませんぞ殿下、あれは殿下のおかげで実のあるまことの経験を得たと感謝しておったくらいですぞ。山出しの田舎娘ではございますが、今後ともどうかよしなに。」
ドリアス伯爵の言葉に俺は少しほっとした。
「田舎娘などとんでもない。あれほど洗練された立ち居振る舞いの貴婦人はこの世界広しといえどなかなか居られないことでしょう。伯爵の薫陶の賜物、そして姫の不断の努力の賜物なのでしょう。」
俺は素直に思ったことを口にしたが、意地の悪い人はおべっか使いみたいに思うかもしれないなーとか思っていたら。
「伯爵、ミュアハ、それくらいにしてあとは料理を楽しみながらにしてはくれんかな?冷めてしまっては料理人の苦労も無駄になる。」
笑い声と共に行われたカルフ王の仲裁?に俺も伯爵も
「はっ!」
「ははっ!」
と、声を合わせて舌鼓を打ったのであった。
「そうです。ミュアハもなかなか槍を使います。身贔屓と思われるかも知れませんが、わたしもうかうかしてはいられないと思うくらいです」
笑顔とともに兄上は食事の手を止めて伯爵からの質問に答えていた。
「とんでもない、わたしなど
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