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Muv-Luv Alternative~一人のリンクス~
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Aをストレイドで迎撃すれば、ACという異形の存在は一般に大きく知られてしまう。その性能も、単機で上げられる異常ともとれるであろう成果。そしてそこから俺に圧し掛かる重く厚い重圧。
「余りこう言う事は言いたくないが…あくまでこの世界は俺にとって関係のない世界だ。俺は世界を救う事なんかよりも…近くにいる奴らを守る事を最優先する」
「そう…。何を言っても無駄見たいね。あんたも白銀も似てるわよ。後先考えず意見を述べる所は」
「…」
香月の言葉に何も言えなくなる。
実際俺達は自分達で何をする訳でもなく、XM3に関してもAMSに関しても全て香月に任せている。俺達はただこれを作ってくれ、あれをああしてくれと言う子供のわがままにしかすぎない。結局は作る人間が居なければ俺達は何も出来ない。
「まぁいいわ。あんたのストレイドは新型機のテストって形でヴァルキリーに同伴してもらう形で出てもらうわ。それで構わないでしょ?」
「ああ。此方のわがままを通してもらう以上、俺からは何も言えない。…宜しく頼む」
改めて自分の無力さを思い知る。
力だけを持ってても、実際は何も出来ない。守りたいと固い意思を持っても、それを貫き通す事は難しい。
…やはり俺は人の下で何も考えずに操り人形のようになっているのが一番なのかもしれない。
「ったく…テスト機だと此方が言い張っても上から何言われるか…考えただけでも面倒臭いわね」
「すまない」
「いいって言ってるでしょ。あんたらは自分の機体のチェックでもして来なさい。特にシルバの方に限っては暫く触ってもいなかったでしょ?」
この場に留まっても香月の邪魔をするだけだと分かったので大人しく香月の言葉に従い、最後に頭を下げてから部屋を白銀と共に後にした。
部屋の外に出た俺達は一度顔を合わせるが、何を言う訳でもなく、格納庫へと足を向ける。俺の機体であるストレイドは地上の格納庫ではなく、地下の方に入れられているが、地上の格納庫からも行けるので取り合えずは白銀についてゆくだけだ。
新潟にBETAが上陸するまでの日にちは既に近い。
その当日、俺はストレイド…つまりAでBETAに太刀打ち出来るのだろうか。
現実どう考えても戦術機より、ACの方は性能が高いが、一枚の紙に上げられたデータが戦闘にそのまま影響するとは限らない。何時何が起きても可笑しくない場所が戦場だ。
考えれば考える程湧き出てくる小さな不安の数々。俺はその不安の無理やり心の奥底に沈め、白銀の後を付いて行った。
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