閑話
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志で伸びたり縮んだり出来る。逃げられやしないんだから」
ここで口答えしそうになりかけたがそれをこの男は面白がっている、というのは昔から知っているのでせいぜい睨みつけるだけにする。
「もし、拒否されそうになってもその前に実験を成功させて、君を本当の操り人形にするつもりだけどねぇ」
クヒヒと気味悪く笑うのに対し、私は顔をそらすしかなかった。この人たちがやろうとする実験は少し前に聞かされた。簡単に言えば思考、感情、記憶を制御することだ。絶対に許される行為ではないが彼は「誰がこのことを裁くんだい?」などと言って自分たちが神のように笑う。
「…その前に現実に帰って悪行を裁いてやるわ」
「どうやって現実に帰るのか、教えてほしいなぁ」
確かにこの男の言うとおり自力でログアウトする方法は無いだろう。相変わらずメニューにログアウトは無い、それどころか相手は開けているメニューをこちらは右手を振っても左手を振っても出ることは無い。そして…もしいたら助けに来てくれるかもしてない人はもうこの世にはいない、私はあの場でポリゴンとなって消えるのを見たのだから…。
「おや、無理かもって顔してるねぇ…」
「……そんなことないわ……」
「自分では無理でも助けてに来てくれるなんて思ってるのかい?……勇者の騎士、リクヤ君が」
「……いま……なん…て…?」
今、この男は「リクヤ」といわなかったか?その前についていた二つ名のようなものはヒースクリフから聞いた「勇者の剣」というものとは違うが…
思わず質問したことで目の前の男は心をくじくための鍵を手に入れたかのように面白おかしく話し始める。
「本名はタケモリ君……だったか。キリガヤ君と一緒にいたところで会ったんだよ。あんな貧弱な子供たちがデスゲームをクリアしたなんて誰も信じないだろうがね…」
タケモリ…恐らくあの雄護という漢字だと思う…リクヤ自身、珍しい苗字だから中々同じ苗字と出会わないなどといっていた覚えがある。
「彼と出会ったところどこだと思う?君の妹さんの病室さ。どうやら、キリガヤ君と一緒に来たようだったけど」
その発言でタケモリ、というのがリクヤってことが確定し、聞きなれない苗字だったキリガヤというのもあのキリトというのが判った。
「いやぁ、あの2人の顔は最高に面白かったねぇ…須郷さんが来週結婚するんだ、ってことを言ったらすごい驚いちゃってさー。須郷さんが僕とこの子の姉との結婚話を…っていったら想像通り驚いてくれたよ」
くひっと妙な笑い方を切れ切れに発しながら目の前の男は芝居がかった動きをする。
「君はあんな男の子が助けてくれるなんて思ってるのかなぁ…絶対ありえないね、もう1度あの機械を被る根性なんて1%も残っちゃいないさ」
その言
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