閑話
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リクヤ、キリトそしてリーファがルグルー前の橋で戦っている頃……
=ユカSide=
どのくらい経ったのだろう…。あの戦い、リクヤとキリトが血盟騎士団団長ヒースクリフとログアウトをかけたデュエルをしてから…。私の体内時間が正しければすでに60日…それも確実ではないけど…。月日が定まらない理由は簡単、あのデスゲームをログアウトしたはずのあの日から今日の今まで私は日の光を一度も見ていない。
私が今いる場所は日の光も届かないどこか洞窟じみた場所。明かりはただ1つ、ぼろぼろの机の上に置かれたろうそくの光だけだった。この部屋…牢獄と言うべきかこの中には先ほどいったぼろぼろの机に椅子、そしてベッドの代わりなのだろう、麻の布が引かれている。そして地中に埋められている杭から伸びる鎖がありその鎖は私の両足についている拘束具と結びついている。
「今日も無様な格好だねぇ…」
不意にこの部屋に粘ついた嫌な声が響き渡る。
「その無様な格好にしたのはあなたでしょ、シンベリンさん?」
そっぽを向いたまま答えるとその男―シンベリンは右手に持っている豪華な装飾のついた剣をペチペチと打ちながら顔をにやつかせてこちらに近づいてくる。
「そんな口利いちゃってもいいのかなぁ?」
シンベリンはそのまま剣の切っ先を私の頬に押し当てピンッと弾く。
「…あぐっ……」
思わず痛みが生じて思わず顔をしかめてしまう。だが、斬られた頬から血が流れることはなく代わりに血のようなポリゴンが散ることからここはまだゲームの中、あのゲームと同じような世界ということが判る。
「痛いのかい?まだ、《ペインアブソーバ》レベル6だよ?」
「……いちいちうるさいわよ………廣田さん」
「…はぁ…。リアルの名前を呼ぶなんてつれないねぇ……ゲームの中なのに」
現実世界の名前を呼ばれて不快なのか唇をゆがめているその男を睨みつける。この男の上司である須郷には何度も会ったことはあったがこの男とは指で数えられるくらいしか会っていない。だが、他人を言葉や権力でこき下ろすのが大好きな人間、というのは嫌というほど判ってしまった。
「お生憎様、私はリアルでもゲームでもどっちも『ユカ』なの……嫌いな人に気を使うなんて……」
「嫌いでも良いさ。…でもねぇ、来月には結婚するかもしれないんだよ。ぼ・く・た・ち・は」
「…どういうこと?」
「いやね、須郷さんに『僕だけの人形がほしい』って頼んだら社長に掛け合ってくれるみたいなんだよ。結婚話という前提ではあるけどね」
そういいながら私の顎を掴んで無理やり顔を合わせられる。その手を振り払い距離をとろうとするも急激に鎖が短くなり危うく転びかける。
「逃げても無駄だって。その鎖は僕の意
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