第一幕その四
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前が来るまで待たなくちゃいけないのかい?」
「御免なさい」
「御免なさいじゃないよ」
シルヴィオはこう言った。
「俺はもう我慢できないんだ」
「こうしえ会えるのに?」
「何時でも会いたいんだよ」
彼は剥き出しの若々しさを向けてきた。それがネッダにはたまらないのだ。
「何時でも」
「だからそれは」
「ネッダ」
彼はここでネッダの名を呼んできた。
「俺は本気なんだ」
「本気って」
「一緒に行かないか?今夜」
「今夜って一体何を考えてるの!?」
「決まってるだろう、駆け落ちさ」
その言葉に迷いはなかった。
「駆け落ち!?」
だがネッダはその言葉にギョッとした。
「シルヴィオ」
そして恋人を見る。
「それは」
「嫌なのか!?」
「いえ、違うわ」
ただその勇気がないだけだった。
「そんなことしたら」
「それしかないんだ」
ネッダのことしか頭にない彼にはそれしか思いつかなかったのだ。
「俺達が一緒になるには」
必死の顔で言う。
「けど」
「あの時言ったじゃないか」
拒むネッダに対して語り掛ける。
「二人ではじめて会ったあの時に」
「ええ、それは」
「じゃあいいだろ!?」
ネッダを誘う。
「俺と一緒に」
「けどそれは」
「ネッダ」
彼女の名を呼ぶ。そしてその目を見据える。
「御前は。俺と一緒になりたくはないのか?」
「いえ」
勿論一緒になりたい。そしてカニオの元から離れたかった。
「けれど」
「けれどもそれもない」
「何か騒がしいな」
トニオはネッダのいる方から声がしているのに気付いた。今までふてくされて寝ていたのだ。
「何だ!?」
「明日の朝だ」
「明日の朝だって!?」
彼はシルヴィオの声に気付いた。
「何をなんだ?明日の朝とは」
「一緒に行こう」
「一緒に」
気になってネッダの方を覗き込む。それを見て目を顰めさせる。その直後に邪悪な、悪魔の如き笑みを浮かべた。
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