第二幕その四
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のところにも血が付いていた。
「貴様がネッダを!」
「う、うわあっ!」
逃げる暇はなかった。ネッダを殺したナイフが彼も襲う。彼もまたその胸を刺し貫かれてしまった。
「おい・・・・・・」
「二人殺しちまったよ」
客達はそれを見て呆然としてしまっていた。
「どうなってるんだ、これ」
「劇じゃねえぞ、これは」
「御客様」
ここでカニオは立ち上がった。そして客達に顔と身体を向けて言った。
「喜劇は・・・・・・」
言葉は大きなものであった。静まり返ったテントの中に彼の声だけが響き渡る。
「喜劇は終わりました!」
その手からナイフが零れ落ちる。それはカラカラと乾いた音を立てて床の上に転がってく。
その側には骸になりもう動かないネッダとシルヴィオが転がっていた。二人は虚空を見ているだけであった。
そしてその側に立つカニオも。彼は全てが終わり、全てを失い。そこに立っていた。
道化師 完
2006・6・16
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