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第十五話 地球、海鳴市
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バカ言ってんじゃないわよ!あ、あたしは別に和也のことなんて……。」
顔を真っ赤にしたままうつむき、最後は尻すぼみになりながら言い訳をする。
だがそんな態度からして導き出される答えは一つしかない。
その答えが分かってしまうからこそ意地悪く紫髪の女性はこう言う。
「そう?エリちゃんが和也君のこと好きじゃないんだったら、私が全部もらっちゃうよ?」
「そ、そんなのだめよ!」
咄嗟に顔をあげて、そう主張する。
顔をあげた先では紫髪の女性が先ほどよりもさらに笑みを深くしていた。
「う、うう……。」
金髪の女性はたじろぐ。
けれどもそんな様子を見ても紫髪の女性は何も言わず、ただニコニコと金髪の女性を見守る。
やがて金髪の女性はあきらめたかのように叫び出す。
「ああもう!!そうよ!大好きよ!私だって和也のことが大好きよ!!」
その表情は真っ赤で熟れたリンゴに遜色ない色である。
紫髪の女性はなおも表情を変えずニコニコとほほ笑んでいる。
それを見た金髪の女性は真っ赤な表情のまま反論する。
「そういうりんかだって和也のこと大好きでしょうが!!」
「うん、そうだよ。私も大好き。」
あっけらかんと紫髪の女性は言ってみせ、またも口をぱくぱくさせる。
しばらくした後、もう負けたわと言わんばかりにがっくりと肩を落としてしまう。
そんな時、今まで微笑みのまま表情を変えなかった紫髪の女性が、丘の方を見て表情を驚きに変える。
「ねえ、エリちゃん。あれを見て。」
「え?」
金髪の女性は丘の方を見上げる。
二人の見つめる先では白い光が集ってい始めていた。
それは徐々に大きくなっていき、一分ほど時間がたった後は人の大きさほどになる。
次の瞬間には白い光ははじけ、中から二人の男女の子供が現れる。
一人は栗色の髪。もう一人は金髪だった。
「エリちゃん。」
「ええ。行きましょう。」
二人は丘に向けて走り出した。


「地球よ!私は帰ってきた――!」
両の手を広げ、眼下に見える街に向かって唐突にそんなことを叫び出す少年。
もしもこれを傍から見ている人がいたならどん引きするだろう。
実際問題、隣に居た少女は他人のふりなのか、わずかに距離を取っていた。
「ちょっ!アリス!?」
そんな少女を見た少年――高町誠也は距離を取るアリスに待ったを呼び掛ける。
「はい。何でしょうか、高町さん。」
「ちょっと待って!その他人行儀やめて!」
物理的な距離のみならず、心理的な距離すらいきなり取り始めたアリスにショックを覚える誠也。
「じゃあ、なんであんなことしたのよ。」
「いや、なんとなく。久しぶりの地球だから、やらなきゃいけない気がして。」
どこぞの毒電波でも受信したのであろうか。
「ったく。やめなさいよ、そういうことは。見ているこっちが恥
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