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Silent 60'S mind
猟犬のお巡りさん(その2)
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もあっただろう。しっかり水を吸って柔らかくなってしまった紙を引っ張ったりしたら当然、破けてしまう。お爺さんと僕で引っ張った調書は必然、びりびりと音を立てる事もなくちぎれた。

「あ、すまん。重ね重ねの。大丈夫かね」
「ああ、うん。大丈夫です。さようなら……」

 ぐしゃぐしゃになった調書を受け取って歩きだした。折れた。折れてしまった。もう駄目だ。きっと何をしてもうまくいかない。ホテルには絶対たどりつけないだろう。
「お巡りさん、コイツです!」

 背後から声が聞こえた。振り向くと警官と、先ほどの女性が立っていた。女性は僕を指差しながら警官の腕をひいている。

「ご協力どうも。おい、お前。ちょっと交番まで来てもらうぞ」

 僕は素直に従った。抗っても駄目だ。きっと逃げ出してもすぐに捕まるだろう。最高に不幸な日なんだ。バナナに足をすべられるなんてベタな事もやりかねない。

 警官が乗ってきたであろう止まっていたパトカーに押し込まれて、僕は運ばれていく。パトカーは人気のなさそうな空き地に止まった。

「おい康一。お前は何をやってんだ? 覗きの通報があった時は笑ったぜ。見つけた時も笑っちまわないようにするのが大変だった」

 警官は墳上裕也だった。だから僕はおとなしくついていったのだ。

「駄目なんだよ。今日は本当についてない。タクシーは横取りされるし、覗きと間違えられるし、水は掛けられる。もらった調書もぐちゃぐちゃだ。それに今見たら財布もないよ。落し物の届けがあったら教えてくれる?」
「……ったく、しょうがね〜なぁ! おい康一。おかしいと思わないか? いくらなんでもそんな不幸な目にあうのはおかしいだろ。お前、もう攻撃されてんじゃないのか?」
「攻撃? まさか……僕が不幸なのは昨日からだよ。よく考えてみれば昨日から始まってたんだ。車がポンコツになっちゃったんだよ。それが攻撃? だとしたらどうするんだ、相手を不幸にするスタンド? 攻撃された覚えもないし、敵の姿だってそれっぽいのを最初に見ただけだ。戦いようがないじゃないか!」
「落ち着けって康一よぉ。お前の足の裏側から怪しい臭いがするぜ。見てみろよ」

 足の裏? 靴を脱いで裏側を見るとガムが引っ付いているだけだった。怪しい人影をおいかけた時に踏んだ物だ。小さな不幸だ。

「そのガムだな。怪しいぜ。そいつ、スタンド使いが噛んでたガムだろうな。あまーいグレープ味だ。臭いがやたらとキツい。とりあえずその靴捨てろよ康一。おっと、不幸だなんて言うなよ? それが原因かも知れネーンだから当然だ」
「う、わかったよ。ハァ、そんなに高いモンでもないのが救いだなァ」

 車の窓から靴を外に投げ捨てた。これで何とかなるのだろうか。

「んじゃあ、スタンド使いを追跡するか。すで
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