猟犬のお巡りさん(その2)
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えているのが見えた。ワオ、今日はついてないと思ったけどこんな事もあるもんだ。すぐに目を反らしたけども。
運勢なんてある訳がない。幸運だの不幸だのなんてたまたまだ。そう、全部たまたま。心が折れるような事があっても、良い事なんてすぐ訪れる。
そう思っていた時の事だった。
「覗きよ〜〜! 誰か、あのチビの男を捕まえて! 覗きの変態よ! 警察に突き出してやる!」
「え、ええ? ええええ〜〜〜!?」
先ほどの女性だ。着替えていた若い女性。玄関から飛び出してくるや否や、僕を睨みつけて大声を上げた。
確かに着替えは見てしまったけども、それは君が不注意にも窓を開けっぱなしにしていたからだろう? 身を乗り出して覗いたわけでもなんでもなく、歩いていたら見えてしまったんだ。故意に見た訳じゃない!
「待て変態! 絶対に許さないわ! もう通報してるんだから、この変態!」
「通報!? 待ってよ! 僕は覗いた訳じゃない!」
「言い訳する気? 覗きするだけじゃなくて、言い訳までするの? どこまで腐ったチビなの、こいつ!」
あ、あんまりだ! そこまで言わなくても! 僕は走った。走って走って逃げ出した。一目散だ。今日はやっぱりついてない。不幸だ。運勢はあった。今日は不幸な日だ! やっぱり心が折れてしまいそう!
どこまで走っただろうか。ホテルまであとどのくらい? 周囲には花に水をまいているお爺さんしかいない。まずは息を整えよう。そしたら、位置を確認してホテルへ向かう。
後ろから子供たちが自転車で走ってきた。遊びにいくのだろうか。僕にもあんな時期があった。毎日がとても楽しかったのを覚えている。お爺さんが子供に気づいたようで水を止めてホースを避けようとしている。子供はお構いなしに直進。自転車のタイヤでホースを踏んづけて行ってしまった。お爺さんはやれやれ、と言った感じに、再び水やりを再開しようと蛇口を捻る。
瞬間、僕は冷たい水を浴びた。子供が踏んづけて行ったホースに穴が開いている。丁度よく僕に向かって、水が噴出している。冷たい。
「おお、すまん、すまん、若いの。悪かったよ」
「ああ、いえ、気にしないでください」
何とか取り繕ってその場を後にする。ズボンがずぶ濡れになってしまった。あ! 墳上裕也から貰った調書はお尻の後ろポケットに入れていた! 取り出してみるとずぶ濡れだった。なんて事だ。でも先ほどまでの不幸な出来事よりも水をかけられる程度、安いものじゃないだろうか。
「もしかしてその紙、何か大事な物だったのかい? 濡らしちまって悪い事したねえ。ほれ、ちょっと見せてみい」
お爺さんが不意に手を伸ばし調書を掴んだ。僕は反射的に紙を強く掴んでしまった。頭の隅に、このお爺さんが敵かもしれないという思い
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