第八十九話 ダーボル城塞
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明にヂシュカは、生前のフシネツ神父が残した言葉を思い出した。
(……どうも怪しい。フシネツ神父は外国勢力がゲルマニアの混乱を望んでいて、その資本がこいつらに回っているような事を言っていた。まさか今回もそうなのか?)
ヂシュカはその事について問いただそうと思ったが、目の前の大金はこれからの戦いに都合が良い為、喉まで出かかったこと間を飲み込んだ。
「この城塞のことを喋ったのか?」
「喋る訳ないだろう。俺を何だと思っている」
「……それはそうと、結構な額の金を集めたな」
「誤魔化したな、まあいい。この分の金があれば大量の武器を買い付ける事も出来るし、お前が奪った食料で半年以上の篭城も可能だろう」
「そうだな、後は誰かが暴走しないように、皆を統率することが大事だ」
二人の話は続き、チェック人たちの行動指針が決められていった。
……
それから数週間の時間が経ったある日、物見に出ていたチェック貴族が慌てた様子でダーボル城塞に駆け込んできた。
「大変だ! ゲルマニアの軍隊が近くに現れた!」
ヂシュカはその報告を練兵場で聞くと、数十名の物見を出してゲルマニア軍の動向を徹底的に監視する体制を取った。
「どうするのだ? このままこの城塞に居ては発見されるのも時間の問題だ。逃げるか、それとも一戦交えるか……」
ダーボルがヂシュカに聞くと、
「今見つかるわけにはいかない。どこかに身を隠そう」
「それらば、すぐに城塞を放棄させるよう命令を出す」
ダーボルが命令を出しに行こうとすると、ヂシュカが待ったをかけた。
「いま、まて、放棄の必要は無い」
「何故だ? 身を隠すのではなかったのか?」
クエスチョンマークがダーボルの灰色髪から出てきた。
「私に考えがある……城ごと移動すればよいのだ」
不適に笑ったヂシュカは指揮棒型の杖を振って、魔法のスペルを唱えだした。
瞬間、ダーボル城塞が地響きに揺れ、農作業をしていた農民達は、突如起こった異変に腰を抜かしその場から動けなくなった。
「な、何事だ……!」
ダーボルが揺れる大地を器用に歩きながら城壁へと向かうと、城塞の基礎の部分から土で出来た巨大な足が六本生えて城塞ごと移動を始めた。
「ヂシュカ、何をした」
「せっかくジャガイモを植え、補修も終えた城塞を、このまま蜂起するのは勿体無い。そういう訳で城塞ごと逃げる事にした」
土のスクウェアメイジであるヂシュカの魔法は、クリエイトゴーレムの応用で、ゴーレムの足だけを城塞から生やし、城塞ごと移動させる奇想天外な魔法だった。
「……城塞ごと逃げようとは」
「開いた口が塞がらんか?」
「まあな。ここから
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