ヌシ釣り〜
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ッスけどね・・・(ボソッ)』
「(え?)」
『な、何でもないッス』
「・・・でも、ほんとに釣れないよね。キリトって釣り下手?」
「このへんの湖は難易度が高すぎるんだよ」
「いや、そうでもありませんよ。難度が高いのはキリトさんが釣っておられたあの大きい湖だけです」
「な・・・」
「・・・釣り下手じゃなくて場所を選ぶのが下手なんだね」
わたしが呆れて言うとアスナはお腹を押さえて笑った。
「なんでそんな設定になってるんだ・・・」
「実は、あの湖にはですね・・・」
ニシダさんは声を潜めるように言う。
「どうやら、主がおるんですわ」
「「「ヌシ?」」」
ニシダさんが言うには、村の道具屋に一つだけ値の張る釣り餌があること、それがあの湖で使うものだと知ったこと、そして・・・ヒットしたが力負けして竿ごと取られたこと。
「わあ、見てみたいなぁ!」
話を聞いたアスナは目を輝かせて言う。
「物は相談なんですが・・・キリトさんは筋力パラメータのほうに自信は・・・?」
「う、まあ、そこそこには・・・」
ニシダさんが発案したのは釣竿の“スイッチ”・・・できるのかと悩むキリトにアスナは言う。
「やろうよキリト君!面白そう!」
「奥さんの期待に応えないとね?」
・・・実はわたしもわくわくしているのは内緒だ。
「・・・やりますか」
そう言うとニシダさんは笑う。・・・そして、その日の夜のリビングにて・・・
「・・・って話があってさ」
「はは・・・兄貴も面白いことするね」
「亮はどうするよ?」
「ま、見には行くよ。・・・釣りにはいい思い出ないけど」
「死んだ世界の時か?」
「それだけじゃないけどね。つかずりーよ、アスナの料理美味いのに・・・」
「その代わりに飯作ってもらったろー?居候なんだから飯喰わせてもらうだけありがたいだろ」
「・・・それ、そっくり返してやるよ」
「・・・それにしても、さ」
「ん?」
「やっぱり・・・こうやって普通に暮らしてる人もいるんだよな」
「・・・ああ」
「昔からそうだったのに・・・忘れてたな。力を持ってる者は戦えない人の分まで戦う・・・」
「戦乱時代から・・・そうだったな。世の中には戦いたくても戦えない人間は沢山いる。・・・あの時と変わらない。あの世界には、戦乱の集結を望んで俺達に期待してる人が沢山いた。そんで・・・」
「この世界にはゲームクリアを俺達に期待してる人がいる・・・」
俺の言葉に亮が頷いた。
「・・・俺さ、釣りが終わったら攻略に戻るよ」
「・・・奇遇だな。俺もだ」
現在の75層攻略に苦戦していることは知っていた。本来なら俺達はいない
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