第十六話 入学式
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て登校することになったのである。
翌日、俺は姫羅になって学校に向かった。もちろん真新しいセーラー服に身を包んでの登校である。
登校中や学校に入った辺りでは、周りから俺のことを気にかける様子など感じられなかったのだが、教室付近まで来ると周囲から俺のほうを見ている気配がひしひしと感じられるようになる。そして教室に入ると、教室内に居た全員の意識が俺に集中したのである。
「おはよう」
取り敢えず朝の挨拶だけして自分の席に向かうが、その間もクラス内全員の視線が俺のほうを向いていた。
俺が自分の席についたとき、どこからか「やっぱり神代かぁ」という声が聞こえた。俺が女性になれることを昨日聞いて知ってはいても、実際に見た時には頭の中の処理が追いつかなかったのだろう。
そのあとはクラス中の生徒に囲まれて質問攻めにあう。どうやら、俺がただの女装ではないかと疑っていた者も居るようだ。なので、ほぼクラス全員が登校した頃合いを見計らって、一度男性に戻ってみる。そして「こういうのが女装だよ」と言ってやると、全員がしばらく固まってしまった。一応、双子の兄妹並みに似てはいるものの、それでも騎龍と姫羅では微妙に輪郭などの顔立ちが違っていたり、髪の長さが圧倒的に違っていたりするので、俺が単に女装しているだけというわけではなく、本当に女性になっているということを理解してくれたようである。
結局、チャイムが鳴るまで質問攻めが続き、チャイムが鳴ってからも半数近くの生徒が俺に色々聞いてくる状況が続いていた。
「全員席につけー!」
俺の周りに集まっていた生徒は気付かなかったようだが、すでに先生が教室に来ていて声を上げ、それによって俺の周りに居た生徒も自分の席に戻っていく。
「神代、自己紹介してくれるか?」
出席が取り終わったところで先生から促される。
「はい、神代姫羅です。得意科目や趣味、能力とレベルに関しては昨日自己紹介した神代騎龍と同じなので省略します。よろしくお願いします」
男性から女性になっただけで、それ以外に何も変わってないので、自己紹介といっても名前以外はほぼすることがない。そういうわけで、昨日の騎龍の自己紹介よりも更に簡潔になってしまった。
「よし、それでは今からクラス委員を決めるぞ。一応聞いてみるが、立候補したいってやつは居るか?」
俺の自己紹介が終わったあと、先生の言葉で教室が静まり返る。まぁ、好き好んでクラス委員になりたいなんて人はそうそう居ないだろう。
「はいっ、やります!」
そうそう居ないだろうと思っていた立候補者が居た……しかも初春さんである。俺の勝手なイメージで、初春さんはどちらかというと消極的なほうだと思っていたのだ
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