使徒大戦
第二章
2.03
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。
「よかった……」
シンジの頬に涙がつたった。
「よかった、ボクは父さんに嫌われていると思っていたよ。よかった……そうじゃなかったんだね」
「血を分けた子を本心で嫌える親がいるものか……」
ぶすっとした表情でそう言い放つゲンドウだが、それが照れ隠しであることは誰の目にも明らかだった。
「よかったね、シンジ……」
シンジの腕にすがりついたアスカの瞳からも、大粒の涙がこぼれていた。シンジが父親と和解できたことが自分のことのようにうれしい。
その喜びの中には、将来の舅との仲が改善されたことに対する女性らしいしたたかな喜びも含まれていたのだが。
場の湿度が上昇し、深刻な話がしずらくなったのと、すでに夜半をすぎ、時刻が遅くなったことから、いったんお開きになることになった。結局今回の会合では現状までの経緯を確認しただけで終わってしまった。話あわなければならないことはまだまだたくさんある。
だが、シンジ自身も身体を再構成しなおしたばかりで疲労を感じていた。栄養補給の必要もある。焦る気持ちはあるが、現状でカヲルの動向がつかめていない以上、できることはないのだ。初号機も破損箇所の修復が終わっていない。
「わかったよ、父さん。今日はいったん帰って休む。明日また続きをしよう……」
「大丈夫なの、シンジ。対策ができてない状態であの変態ホモが責めてきたらヤバイじゃないのよ」
「それはないと思うんだ。カヲル君は全ての用意ができるまではボクと対峙しようとはしないんじゃないかな。それをするくらいなら、あのときとどめを刺していっただろう? たぶん、アダムの所在がつかめて、その因子を手に入れるか、少なくとも手に入れる方法が分からない限りは、大丈夫じゃないかな。とは言っても、そんなに時間が残されているとも思えないけどね……」
「そう言われてみればそうね……いまは何もできないんだから、割り切って燃料補給しに行きましょう。アタシハンバーグがいいな」
「ええっ、ボクが作るの? ボクも疲れてるんだけどなあ……」
「だめ? アタシ外で食べるより、シンジの料理のほうがいいなあ」
上目遣いの甘えんぼアスカちゃん攻撃が炸裂した。もちろん体をすり寄せてサービスするのも忘れない。
その破壊力にシンジはあっけなく撃沈。真っ赤になって、ぶんぶん頷いた。
「う、うん、わかったよ! じゃあ買い物して帰ろう!」
「うんっ!」
その答えにうれしそうに笑うアスカを見て、シンジは疲れなんて吹っ飛んでしまうのだった。
──アスカったらいつのまにあんな技を? 末恐ろしいわ。もう完全に操縦してる。
ミサトは戦慄していた。アスカの戦略家としての才能は家庭でもいかんなく発揮されるらしい。もっともアスカにそんなつもりは毛頭なく、ただたんに本当に甘えているだけだった。今まで
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