使徒大戦
第二章
2.03
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訪ねたのはもちろんリツコだ。
「コアに干渉できるならアスカのシンクロをカットすれば、エヴァの死にアスカが引きずられて危険が及ぶこともないんじゃないかしら」
「それも確かに考えました。でもコアを貫かれた使徒の半数ほどが爆発していることを考えると、そんな危険は冒せない。弐号機が爆発したときにそれに耐えられるのはエヴァだけでしょう。だから初号機の中にひっぱりこむしかなかったんです。まあ、とっさのことですから、ゆっくり考えればもっといい案があったかもしれませんが……」
「そういうわけで、アタシはいったんシンジと溶けあってしまったのよ。おかげであんなことや、こーんなことも、乙女の秘密をぜーんぶシンジに見られちゃったわけ。もうお嫁にいけないわよ」
「なに言ってるんだよ、ボクのことも全部見たくせに。だいたい溶けあって一つになったときに、自然と分かり合う表層の部分だけじゃなくて深層までどんどん掘り下げて見まくってたじゃないか。ボクはそんなことはしてなかったのに」
「まあまあ、シンジの本音をぜーんぶ知りたかったのよ。将来の旦那さまの身上調査ってとこね」
「な、なに言ってるんだよアスカ……!」
真っ赤に染まってしまうシンジの顔面。ヤカンを載せたら湯が沸きそうだ。こういうところは使徒化しても変わらないらしい。
「まあ、見られてうんぬんってのは冗談よ。アレのおかげでアタシたちはわかりあえたわけだし、感謝してるわよ。分かってるんでしょ、バカシンジ……」
「う、うん」
「……むぅ、シンジと弐号機パイロットはそういう仲なのか」
「ふ、女房の尻にしかれるところなぞ父親に似なくてもいいと思うがねえ」
「ふっ、冬月先生! それはどういう意味ですか?」
「言葉通りの意味だよ」
そう中年漫才を繰り広げている一方で、女性陣も目を丸くしていた。
「あらあらあら。アスカも変われば変わるもんねえ。旦那だまですってよ?」
「そうね……。でももともとあの子たちが惹かれあっていたのは分かっていたわけだし。心の鎧が剥ぎ取られてしまえば無理もないことかもしれないわ」
そう言いながら、二人の女性の脳裏に共通して浮かんでいた切実な問題とは──アスカに先を越されるかもしれない、というものだった。
笑うなかれ、三十路前の女性にとっては深刻な問題である。
「こほん」
思わずゆるんでしまった場を引き締めようと冬月が咳払いした。
慌てて姿勢を直す面々。しかしシンジとアスカの手がしっかりつながれたままなのはご愛敬というところだろう。
「どこまで話がすすんだかな……そうそう、補完計画の説明の途中だったな」
「我々は先史文明の記録媒体から多くの情報を引き出した。そして結論としてはやはり不完全である知恵の実の補完は必須であるということになった。だがその先がゼーレと我々で大きく違っ
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