使徒大戦
第二章
2.03
[7/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
エスが槍で殺されるなんて不自然だと思いませんか? まあ、これは話の本筋からはずれますから、簡単にいっちゃいますけど。イエスは奇跡を自分のために使ったわけじゃない。他者のために使っていたわけなんですが、それをよく思わない為政者によって邪魔者扱いされました。ATフィールドがある以上、命の心配はないわけですが、イヤになったんでしょうね。ですから槍が自分のフィールドを貫けるというデモンストレーションをして、一芝居うったんでしょう」
「なーる。死んだことにしちゃえば楽になれるってわけか。それがあの復活劇の真相なのね」
「話を戻しましょう。ボクはその神人=イエスの血痕から解析された遺伝子をもとに生まれました。ボクはその欠損部分を父さんの遺伝子で補完されましたが、カヲル君はおそらくそのまま……あのアルピノであるところなどはその影響なんでしょう。他にもたぶん、人として不完全な部分が多いのだと思います。あるいは彼がボクとの一体化を望むのも、使徒の因子を収集するのを急ぐのも、その欠損を埋めようとしているのかもしれません」
──それだけじゃない、ひょっとしたらカヲル君に残された時間自体が少ないのかもしれない……。
だがそれは希望的観測にすぎない。いまこの場で言うのは不適当と思われた。
「カヲル君は人間としては不完全ですが、そのぶんより純粋に先史文明種族に近い存在です。だから槍の支配力もボクよりも強い……」
「まあ、そうは言ってもシンジも槍の主人であることに違いはないわ。アタシの予想では、シンジの意志力が強くなれば、カヲルの槍に対する制御に干渉できるようになると思うの。実際あの槍に貫かれた瞬間、シンジはカヲルの支配に干渉したじゃない」
「あれは……その、火事場の馬鹿力だよ」
「どういうことだね?」
「そうよ、そこが聞きたかったのよっ!」
「えーと……あの槍が投擲されたとき、ボクはアスカをかばおうと、槍の射線上に飛び込みました。とっさのことですから体勢もフィールドも不十分で、けっきょくアスカの弐号機ごと串刺しにされちゃったわけなんですが。その刺さった瞬間にですね、槍がプラグを貫通したんです。ボクはプラグの正面ディスプレイを突き破って目の前に迫る槍の穂先をはっきり見ました。その瞬間、『いやだ、こんなことで死ねない。アスカも綾波も助けられないで』と思ったんです。そうしたら、槍がボクのATフィールドに同調したんです……どうやったかはちょっと説明できないんですが。そしてボクは槍とフィールドを一時溶けあわせて同化しました。そして弐号機のコアに。ボクはコアが損壊するナノセコンドの間にコアの中にいたアスカのお母さんの魂に干渉してアスカのシンクロ率を400パーセントに上げ取り込ませた上で、その情報を全てコア経由で槍から吸い上げたんです」
「なんでそんな面倒なことを?」
と
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ