使徒大戦
第二章
2.03
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補完計画を進行していたネルフの上部組織──人類補完委員会という名前に隠れていたゼーレという組織が、ほとんど壊滅状態なのだ。フィフスと四号機によるものだろう」
「えっ……」
それはシンジも初耳だった。まさか自分たちがコアに溶けていた一週間足らずの間に、カヲルがそこまで大胆に行動していたとは。
「つまり現時点で補完計画を進行しようとしている者はいない。こちらの手のうちを隠さねばならない敵対組織が存在しないのだ。フィフスはおそらく単独だろうしな。そしてこの局面が終われば、もう機密など存在する意味がない」
「そうなのか……とりあえず、父さんが賛成してくれたのは助かるよ。父さんたちの協力が得られないと勝算もなにもあったもんじゃないからね。それでさっきの話に戻るけど、カヲル君はどうもボクの同タイプクローンじゃないかって思うんだ。それも、より神人の遺伝子に忠実な……」
「シンジ君! クローンって!」
リツコが驚愕の叫びをあげた。ミサトも言葉を無くしている。
「そんなことでいまさら驚かないでくださいよ。リツコさんだって機密のかなり深いところまでふれてる身分でしょう」
「それより、神人ってなんなの? 遺伝子って?」
「ミサト、アンタはロンギヌスの槍ってなんだと思う?」
「そんなの私に分かるわけないじゃない。聖書ではその名前はイエス・キリストを殺した死刑執行人の槍だけど……」
「正解よ。その槍には神の子の血痕が残っていた。でも保存状態が悪すぎて遺伝情報が全部読みとれなかった」
「その欠損部分を父さんの遺伝子で補ったうえで、母の卵子と受精させたのがボクというわけだよね、父さん」
「……そうだ」
「ええっ!」
「じゃあシンジ君はキリストのクローンってこと? 救世主?」
その科学者らしからぬリツコの台詞に思わずシンジとアスカが吹き出す。
「あはは、そんなんじゃありませんけどね。聖書の記述がまるっきり事実のみってわけないじゃないですか。たしかにイエスは通常人とは違う能力を持っていました。でもそれは神の使いなんかじゃない。むしろ神の使いとは敵対する立場ですし」
「つまりさ、神様ってなんだと思う?」
ちょっと得意そうにアスカ。
「神さまねえ……」
「いろいろ定義があるな」
と、もと人文学者らしい答えを返すのは冬月だ。
「ごく限定的にいうと、神というのは造物主。でも世界、宇宙という物を作った存在と、この地球の人間を含めた生命をつくった存在は別。宇宙を作ったのが誰かは知らないけれど、生命を作ったのは、種をまいたのは誰かは分かっているわ。アダムよ」
「アダムは太陽系ができたての頃……一億年くらいのころかな、集積中の原始地球にぶつかって砕けた。いちばん巨大な欠片ははじかれて天空に。その次に大きな二つが南極と日本に。そして小さな欠片たちは世界
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