Episode6:九十九家
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☆☆☆
現代に昔のような『電車』は存在しない。現在の主要な移動手段は電車だが、今は『キャビネット』と呼ばれる中央管制された二人乗りまたは四人乗りのリニア式小型車両が現代の主流だ。
取り敢えず俺は一人だから二人乗りのに乗り込んでから数分が経って、ようやく高校近くの駅についた。途中、どこかの車両から異常に活性化されたサイオンが視えたが、それはすぐに治まった。キャビネットから降りると、昨日友達になったばかりの人が前を歩いているのが見えた。
「やあ、おはよう達也」
「隼人か、おはよう」
ポン、と肩を叩いて挨拶すると、友達――司波達也は振り返って俺に挨拶を返した。
「お兄様、その方は……?」
と、そこで達也の横にいた少女――新入生総代、司波深雪さんが微笑んで達也に問いかけた。うん、相も変わらずお美しい。才色兼備、とはこの人のことだろうなぁ。
「ああ、コイツは九十九隼人。昨日知り合ったんだ」
「どうも、九十九隼人です。よろしくね?」
「司波深雪です。よろしくお願いいたします」
恭しく腰を折る深雪さんに俺は笑みを浮かべた。こういった品のある動きが完全に染み付いているような動きだ。ここまで来れば、どこかのお金持ちの令嬢、などではないかと疑ってしまう。
「えっと、深雪さん…でいいかな?」
「はい。では私も隼人さんと呼ばせていただきますね」
と、こんな風に、俺の高校生活は和やかに始まった。
☆☆☆
教室のドアを開けると、雑然とした会話が耳に入ってきた。どうやら鋼はまだ来ていないみたいだから、まずは自分の席を探した。九十九隼人だから頭文字は『つ』。廊下側の席から探してみると、予想通りすぐに見つかった。見つけた自分の席に腰を下ろして、溜め息をつく。高校生活の初日だからということで、テンションが上がるのは分かる。それによって意図せずにサイオンが活性化されてしまうのも無理はない。しかし、『気持ち悪い』という感情は抑えられない。
俺はBS魔法師だ。その能力で、イデアに存在するサイオンが視える。魔法は感情によってその威力自体も左右される。魔法の元になるのはサイオン。感情が昂ぶれば昂ぶるほど、サイオンは活性化され、俺の目に強い影響を与える。on、offができるものの、完全にはシャットアウトすることはできず、現在も俺の目には様々な色彩が混ざり合う世界が写っていた。
「……うえっぷ」
思わずおくびを漏らしたそのとき、後ろから忍び寄る影があっ
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