追想〜海統べる龍と紅い剣豪〜
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「左翼展開!横合いから群れを潜り抜けてボスを狙って!右翼は群れの第一陣を殲滅、取り逃がした敵は私達が対応します!」
リリーナの指揮で海龍の群に対応する俺達。影妖精部隊に属する俺とキリト達は左翼から敵陣の大将である海龍王を狙うが、飛翔出来るとは言っても相手は巨大な海龍。否応なく戦闘になる場合もあり、そのせいで本命の海龍王のもとに辿り着くまでに人数が半分になってしまった。
「風妖精部隊と火妖精部隊に応援要請を出せ!すぐにこいつをやらないと押しきられる!」
影妖精部隊を指揮するキリトが連絡を出し、俺達はそれぞれの武器を構える。全員が不敵な笑みを浮かべ、黒い鱗光が乱舞する。
「さぁ、フィーバータイムのスタートだ!」
そこから先は乱闘だった。
ボスの周囲を飛び交い隙を見て攻撃を浴びせるもの、背中に乗って連撃を浴びせるもの。攻撃部隊はこの二つに大別され、俺とキリトが選んだのは後者だった。墨色の翅を羽ばたかせ、巨大な海龍王の滑らかな鱗が並ぶ背中に飛び乗る。
「らあぁぁぁぁぁぁ!」
「おぉぉぉぉぉぉ!」
俺達が開眼したユニークスキル。俺達が須郷の策略を撃ち破った事で一度ALOが崩壊した際、その全十種あるユニークスキルは全て公開され、俺には<英雄剣>、キリトには<二刀流>が与えられた。滅殺剣は失ってしまったけれど・・・・・・・俺達は変わっていない。
ほとばしる白い剣戟。七本の剣線が青色の強靭な鱗が幾重にも重なった表面を貫き、最後の上段斬りがその下の筋肉を深く切り裂く。英雄剣八連続技<コスモ・ブレイザー>。物理五割、聖二割、炎三割。
二刀が躍り、輝き、切り刻む。星屑の煌めきを散らしながら鱗を、筋肉を、更にその下を。二刀流十九連続技<オーダー・オブ・カオス>。物理四割、闇六割。
オォォォォォォン・・・・・・・・
止めは誰が刺したのか分からなかった。
ただ、巨大過ぎる海龍王が倒れ、盛大な水しぶきを上げる。だが・・・・・・・・・
ドガァァァァァァ!
「後ろだと!?」
まずい、このままじゃリリーナ達が・・・・・・・・!
リューナサイド
「そんな・・・・・・・・大型種がこんな所にまで・・・・・・・・!」
海龍の突進による衝撃で思わず腰を抜かしてしまった。海龍の真っ赤な口腔が覗く。ずらりと並ぶ剣の様な牙から、たらりと唾液が流れ落ちて・・・・・・・・
「<抜刀術>天御柱」
私を貫きはしなかった。
ほとばしる蒼白い剣戟で海龍を切り刻み、私の前に立っていたのは・・・・・・・・・
「大丈夫か?槍使いのお嬢ちゃん」
さっきの海龍の口腔よりもなお紅い装束を纏い、炎の様に赤い髪を紅いバンダナで逆立て、何より、そのどれより緋い日本刀を帯びた一人の剣豪だった。
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