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Silent 60'S mind
猟犬のお巡りさん(その1)
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前の臭いがしたから追ってきたんだ。えッ? 康一ィよぉ〜」

 康一? 僕の名前を知っている? それに臭いだって?

「あ、ああ! き、君は! 君はまさか、警官になっていたのかー!」

 警官はバッと帽子を取り去った。僕はこの警官を知っている。高校生の頃に、彼とはすでに知り合っている! まさか暴走族だった彼が警官になっていたなんて!

「墳上裕也!」
「よう康一。お前マジで人轢いたのかァ〜? 俺も仕事だから知り合いってだけで見逃すのもまずいんだけどよぉ。あ、だからって金握らされても困るぜ? 俺はこの仕事気に入ってるからよ」
「警官だって……なんか意外だ。びっくりって感じ。うん、いや待って、懐かしがってる場合じゃなくて、車の事故は本当だ。でも轢いたのはスタンド使いなんだよ。倒す為に轢いたんだ。君ならわかって貰えると思うけど、仕方がなかったんだよ」
「俺が警官じゃ不思議かい? 俺にも倅がいるからな。食わせていくにはちゃんとした職業に就こうってよ。結構合ってるんだぜ。臭いで追跡できる特技ってのが有効に使える。にしてもスタンド使いだァ? またずいぶんきな臭い事してるな康一。俺はそういうのパスだぜ、もうガキじゃねーんだ。粋がる歳でもねーしよ」
「ああ、うん。もうスタンド使いは大丈夫。今は……なんというか、人を探しているんだ。透明な赤ちゃんって覚えてない?」
「いや、俺は知らねーな。赤ん坊を探してるのか?」
「違うよ。透明な赤ちゃんは十三年前にこの辺りでジョースターさんに拾われたんだ。彼女は今杜王町に来ている。僕が探してるのは彼女の実の両親。そうだ、君のほうで少し探して貰えないかな。警察なら何か知ってるかも」
「捜索願いの有無くらいなら分かるだろうけどよ。それでいいかい康一」
「ありがとう。助かるよ」

 そのまま歩いて数分。墳上裕也の勤務している交番はすぐ近くに存在していた。古い調書をひっぱりだしてくれた彼には礼を言わなくてはならない。

「あの当時は行方不明者だらけなんだ。赤ん坊って特徴がなけりゃ探すのも無理だったろうな」

 そういって資料の束を一山ほど彼は持ち出した。これが全部、十三年前に取られた調書だという。

「……この近辺で赤ん坊。あったぞ、一件だけだ」

 見つけた! 彼女の探索願いを出していたのなら、きっとその人が彼女の親である可能性が高い。

「外国人だな。年齢は当時二十四歳。赤ん坊を探しているとここを訪ねたらしい。名前は――」

 外国人。彼女は碧眼だった。日本人じゃあない。やっぱり合っていた。彼に頼んだのは正解だった。

「――フォーザァー・ビッグ・レッドハウス。赤ん坊を探しているっていうのに性別もわからねーってんで怪しかったと書いてある。そこを問い詰めたら逃げるように去ったらしい」

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