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Silent 60'S mind
猟犬のお巡りさん(その1)
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。用があるなら家に掛けなよ、外にいるって事は用事があるって事だ。携帯電話を取ったら、その煩わしい用事を聞かされる羽目になる。だから僕は取らないよ。康一君も掛けてくるんじゃない。何か動物の様子を観察してるときに鳴ってみろ。動物は逃げるだろうな、取材の邪魔をしたって事だ。僕の状況を知らなかったとか、悪気はなかったとか、そんな言葉で解決する事じゃない。誰であろうとただじゃ済まさないぞ」

 その言葉の通り、彼の携帯電話はマナーモードどころじゃない。常にサイレントモードになっている。彼らしいと言えばそれまでだが、そういう行き過ぎな所こそが彼を彼足らしめる物の一つだと僕は諦めている。また機会を見てあらためて電話しようと思う。

 僕は何の気もなしに、バスターミナルに徒歩で向かった。ここから離れた所が、ジョセフ・ジョースターが静さんを拾った場所と聞いている。どこか貯水池がある場所だという。

 彼女のルーツを探るのは良いが、ヒントとなる物は何もない。見つけたら儲けと思って言ってみるとしよう。歩き出すと、後ろから声を掛けられた。

「すいません、ちょっとよろしいですか」

 誰だ、と振り向くと、そこには帽子を深く被った警官が立っていた。何だろうか。

「昨日の事なんですけど、この辺りで事故があったみたいなんですよ。どうも人が轢かれてるようで。車の破片は落ちているし、血痕のような物もある。何かご存知ありませんか」

 事故! これはやばい! 僕の車はあの後自宅に置いたままで、アングル・ビーを轢いたせいでフロントがベコベコになっている! 事故というのは思ったより証拠となる物が多く残ると聞く。塗料だとか、破片だとか、とにかく色々だ。現場には車のドアガラスも落ちているはずだ。やばい。僕がひき逃げの犯人になってしまう! お嬢様はそれについて何か対策を考えていたのだろうか。まったく考えていなさそうだ。スピードワゴン財団は助けてくれる? もしかしたら良い弁護士を紹介してくれるかもしれない。でもそれじゃ裁判まで行くって事じゃないか!

「し、知りません! 僕は昨日、バスでここまで来たので!」

 警官の口元がニヤっと笑った。

「怪しいですね〜。俺は事故についてほんの少しだけ聞こうかと思ったんだ。事故現場を見てないか、その程度にな。なのに君は車に乗っていなかったという。こいつは怪しいなぁ」

 う、うわーー! 大ピンチ! まさか警察に追い込まれる日が来るなんて! 僕は今まで悪い事はしない人間だったのに! Oh my ガッ!
 僕の焦りが分かったのか、警官は肩を小刻みに震えさせて笑いを堪えている。駄目だ、確信されてしまっている……!

「酷い汗だ。急に汗を掻きはじめているな。ずいぶん臭いが強くなった。やっぱり何か知っているなァ? 現場でもお
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