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Silent 60'S mind
猟犬のお巡りさん(その1)
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年頃は多分、子供扱いすると怒る年頃だ。図鑑にもきっと書ける。

「私は透明になって隠れるのが好きでした。私がいないと慌てふためくパパとママを見て喜んでいました。でもすぐにバレるんです。私はいつも透明になって、パパとママの傍にいたから。傍にいるってすぐにパパにバレるんです。――でもあの時は、私は一人で透明になっていました」

「あの時?」

「半年ほど前、パパは家にいなかった時です。ママは具合を悪くしていて、自室のベッドでお医者さんと一緒にいました。本当に気まぐれだった。具合の悪いママの事を考えて、悲しくなって一人でいたかったんです。家に入る前に透明になって、そのままひっそりと帰宅しました。そこに、あいつが来たんです。元々は遺産分配の調査にあたって雇ったと聞きました。あの弁護士を」

 弁護士。そういえば、仗助君のもとに承太郎さんが来たのは遺産分配の調査で分かったと言っていた。彼女が一枚の写真をポシェットから取り出し、僕に見せてくれた。そこには丸いサングラスを掛けた細身の男が写っている。

「名前をフォーザァー・ビッグ・レッドハウス。私が透明のまま家に帰ると、フォーザァーが私の部屋にいました。書類の確認という名目で家を訪ねていたようです。しかし、フォーザァーは私の部屋にいた。何かを探してる様子でした。ロリコンや変態の類かとも思いましたが、ちょっと違う、明確に『何か』を探している、そんな様子です」
「……警察には相談したの? ただの弁護士でしょう? 空き巣かとか窃盗とか、そういう形で捕まえてもらえばいいんじゃない?」

 僕の言葉に、彼女はふう、と息を一つ吐いた。

「駄目です。金銭目的の窃盗じゃないんですよ。そんな目的ならそもそも私の部屋なんて漁らない。パパに買って貰ったグッチの腕時計も、エルメスの財布も、全部そのままになっていた。あれの興味の対象じゃなかった。私の部屋だけじゃないかも知れません。私の部屋が最後で、今までずっとジョースターのお屋敷を一通り漁ったのかも知れない。無くなった物はまだありません。でも、『これ』だけが欲しい、そんな意志を感じる。

 私もこの町で起きた十三年前の事件は聞いています。パパからも聞いた。スピードワゴン財団の詳細な事件レポートも読んだ。だから考えてしまう。もしかしたら、『弓と矢』のような物を探していたのではないか、と」

 『弓と矢』! 射られた物が生き残ればスタンド使いとなる、あの弓と矢!

「私の家には矢はありません。でもフォーザァー・ビッグ・レッドハウスはあると考えたのかも知れない。可能性はあります」
「……それで君はどうするつもりなの?」
「フォーザァー・ビッグ・レッドハウスが探しているものを正確に把握し、手に入れる。それまでここを離れるつもりはありません。康一さん、護衛は
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