猟犬のお巡りさん(その1)
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だってコレです。ああ、あと拷問はする側がどれだけ狂っているか、される側に見せ付けなければいけませんね。きっと恐怖を煽る筈です。アングル・ビー、私がただのお嬢様に見えますか? 見えるのなら、その印象を覆す為にちょっと酷い事をしなければいけませんね。んー。何が良いでしょうか。何が良いですか康一さん。大丈夫、透明にしちゃえば臭い立つまでバレませんよ」
普通の人じゃない。どこか狂っている。もちろん、それはアングル・ビーに見せ付ける為の演技かも知れないけれど、僕にさえその演技は有効だ。本当に演技なのか? 本当にこのスタンド使いをスピードワゴン財団に引き渡すつもりなのか? 聞きたい事を聞いたらゴミを捨てるように始末してしまう、そんな風に思えてくる。拷問にしてもそれはやりすぎだ。殺されると分かっている人間はきっと喋らない。あ、でも天から落ちた蜘蛛の糸を掴むように、生き残る為に必死になるのか。アングル・ビーは泣き出して如何に自分が従順であるかをお嬢様に説明しだした。あれではお嬢様じゃあない。女王様だ。やっぱり危ない子だ。根本的な部分が僕とは、いや誰とも違う気がする。彼女は冗談で言っているのかも知れない。演技なのかも知れない。だけど彼女の瞳の奥には、何かほの暗い光を感じる時がある。それがマイナスの事なのかプラスの事なのか僕には判断できそうにない。
アングル・ビーはお喋りだった。お嬢様がお喋りにしたのだ。聞かれても居ない事をたくさん喋った。聞いた事もしっかりと喋ってくれた。
「依頼されたのは静・ジョースターから『何か』を奪う事だけだ! そりゃあ殺してからのほうが楽チンだと思ったが、一応言っておくと殺せとは命令されていない。何でも良いと言ってた。ガキの女が普通持ってないだろってモンを何でも良いから奪えと言われたんだ! 何を持ってんだ? スゲー気になる。俺は何を奪うように依頼されてたんだァ?」
そこまで喋って、部屋にノックが響いた。対応するとスピードワゴン財団の人間で、アングル・ビーは彼に連れて行かれた。お嬢様も知りたい事は知ったようで反対はしなかった。
お嬢様は一息つくと僕を見据えた。
「さて、何から話しましょうか」
そうだ。僕は彼女の事を聞かなければならない。
「……襲われた理由について、心当たりがありそうだった。まずはそれから聞こう」
「――子供の頃、私は悪戯が大好きな子供でした。みんなそうだと思います。小さな頃は、大人を困らせるのが好きだった。子供は大人にそういう事をして、怒られて成長します。きっと生態なんでしょう。人間を犬や猫のように図鑑に纏めると、そういう記述になると思います」
……困った、それは関係のある話なのだろうか。彼女の子供の頃の話なんて。いや、彼女はまだ子供だと言いたい。でも黙っていよう。この
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