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ホフマン物語
第四幕その八
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はそんな彼に冷やかに声を浴びせた。
「もうこれで」
「ええ」
 彼は憮然としながらもそれに応えた。
「ではこれで」
「ストップ」
 それを合図に二人はそれぞれカードを見せた。ダペルトゥットは九のスリーカードであった。
 対するホフマンはストレートであった。八、九、十、十一、十二が見事に並んでいた。最後の勝負もホフマンの勝ちであった。
「運がよいようで」
「僕には幸運の女神がついておりますから」
 ホフマンはにこやかに笑ってこう返した。
「幸運の女神ね」
「はい。それが僕に全てをもたらしてくれました」
「彼女の心も」
「そうです。ではそれを」
「わかりました」
 ダペルトゥットは憮然としながらもそれに応えた。そして懐から一個の女性のガラスの像を出して来た。
「これで宜しいのですね」
「有り難うございます」
 ホフマンはにこやかな笑顔のままそれに頷く。
「お見事でした」
 ダペルトゥットは憮然とした顔を作って言う。そしてそう言いながら席を立った。
「私がカードで負けたのははじめてでしたよ」
「そうだったのですか」
 ホフマンは涼しい顔を作った。そして言葉を返した。
「全く。今までは勝ってきたというのに」
「誰でも敗れる時はありますよ」
 慰めの言葉ではあるがそれは慰めではなかった。
「悪魔でもね」
 鋭い目でダペルトゥットを見据えながら言う。横目でジロリと見ていた。
「悪魔でも」
 何も知らないシュレーミルがそれに問う。
「思わせぶりな言葉ですね」
「何、ほんのジョークです」
 ホフマンはそれにはしれっと何も知らない様子で返す。
「ほんのね」
「それにしては言葉が鋭かったですが」
「そうでしょうか」
「何はともあれ大晦日の勝負はこれで終わりですな」
 ダペルトゥットは会場を後にしようとする。そして去り際にこう述べた。

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