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ヘタリア大帝国
TURN58 USJ決戦その五

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「その時までは待つのだ」
「何とか沈まずに」
「その時を」
「司令が仰っている」
 今の彼は東郷に絶対の信頼を向けていた。戦いの中でそれを手に入れたのだ。
 それ故に取り乱すことなく己の部下達に言っていく。
「それならば絶対にだ」
「反撃ですね」
「それに移りますね」
「その時まで待てばいい」 
 そうだというのだ。
「わかったな」
「ですね。今は敵に攻めさせるべき」
「精々やってもらいましょう」
「弾幕を張って敵を出来るだけ退かせろ」
 ダメージは最低限で押さえることも忘れてはいない。
「そして次だが」
「来ます」 
 モニターに福原いづみが出て来た。彼女の後ろも騒がしくなっている。
「ガメリカ軍の戦艦が突撃してきます」
「そうだな」
「ではお兄様、ここは」
「司令が今仰る」 
 平良がこう言った時にその東郷が言った。
「全軍少し下がれ」
「そういうことだ」
「はい、手筈通りですね」
「このままいける」
 微笑んでの言葉だった。
「ではな」
「はい、それでは」
 福原も微笑んで平良に返す。そしてだった。
 太平洋軍の中央はガメリカ軍の猛攻に耐えられなくなったかの様に下がりだした。左右の陣はそのまま残っている。
 小澤は右にいる。そこから左の南雲の通信を受けた。
「今のあたし達はこのままでね」
「そうです。為されるがままです」
「中央は下がったね」
「しかし私達は残ります」
「突破されようとしている状況に狼狽して動けない」
「そうなっています」
 小澤はこう南雲に淡々と話す。
「そういうことで」
「そうだね。まあ敵はどんん攻めてきているね」
「本当に全軍で攻めてきていますね」
「どうしたものだろうね、ここは」
「大変です」
 こうは言っても小澤の言葉は棒読みである。
「負けますよ」
「まずいね、どうしたものかね」
 南雲も笑っている。
「流石に三倍で質も圧倒的な相手だとね」
「おいそれとは勝てません」
「そう、おいそれとはね」
「勝てないです」
 また言う小澤だった。
「これでは」
「さて、あたし達はこのままだね」
「左右に展開したままです」
「じゃあ戸惑っておこうかね」
「そういうことで」 
 お互いに話してそうしてだった。
 太平洋軍の左右は薄い層のまま退く中央を見て狼狽していた。少なくともガメリカ軍にはそう見える状況だった。
 キャロルはその彼等を見てこう言った。
「左右は後回しよ」
「まずはだな」
「そうよ、中央の敵の主力を叩き潰すわ」
 そうすると部下達に返す。
「いいわね」
「はい、それでは」
「ここで総攻撃ですね」
「ええ、一気に決めるわ」
 そのつもりだった。キャロルは勝機を見ていた。

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