第7話 疑惑は確信に
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しての地位もキャリアもゼロの俺達ならかける迷惑は最低限だしな。むちゃくちゃ出来るのは今だけだ。―――なら行くしかないだろ」
それはクルトらしからぬ暴論だった。
確かに武偵になったばかりのド新人ならば、かける迷惑や、組織にかける損害は最小限で済む。それにここは犯罪者達の巣。民間人への配慮を気にする必要もない。
しかしそれでも迷惑は、問題は確実に発生する。
武偵になり、巨大な組織に入った時点で独断専行は最悪な愚行だ。クルト自身それを理解してないわけではない。けれど、今は自分の思うままに動きたいと、そう思っていた。
そして、その言葉を聞いたアリアの顔から迷いが消えた。
「はあ、分かったわよ」
「それでこそ俺の相棒だな」
「ふ、ふんッ!本当はもっと良い相棒が良かったけど仕方ないわね。あんたで我慢してあげるわよ」
「それは最高に光栄だな」
クルトのその軽い皮肉に、僅かに頬を染めて顔を逸らすアリア。
その姿に苦笑しながら、二人は歩きだす。
「ところでレズリーさん達はどこに言ったのよ?」
「それなら見当はついてる。というか一つしかない」
そう言ってクルトは人差し指で床を指す。
「地下だ」
「地下?」
「ああ。レズリー達に通信機が繋がらなかったのは、向こうが電源を切っているか、それとも電波が届かない場所にいると考えられる。どちらにせよこの屋敷からレズリー達が出てきてはいないはずだ。少なくとも全員が出てくるまで俺やアリアが気付かないなんてことは有り得ない。それだけで考えればレズリー達はまだ屋敷に隠れてるって事になるが、一通り探してみてその可能性は薄い。ついでに空から逃げた可能性も無いってなれば―――」
「必然的に地下って事になるわね」
「ああ。ま、大した事ない消去法だけどな」
と、もっともらしい理由を言ってみたが、実際はこの手の場合犯罪者は地下を使うというテンプレーションを言ってみただけだったりする。
まあ、当たってはいるのだが。
「それでも凄いわよ。あたしじゃ無理だもの」
適当な言葉で、アリアからの信頼を勝ち取ったクルトは、多少の罪悪感に胸中を支配されながら地下に行く為に一階を目指す。
一階に辿り着いた二人は地下の入り口を探すが、当然中々見つからない。
「アリア」
「なに?」
「“硬”で床をぶち抜いてくれ」
「わかったわ―――よッ!!」
言い終わると同時に、“硬”で強化した拳をもって全力で床を殴るアリア。
凄まじい破壊力を秘めたアリアのパンチは、フローリングで出来ている床の粉砕し、更にその下にある鉄板をひしゃげさせる。
轟音が響き渡り、破壊された材木などの細かな粒子が辺りに漂う中、クルトは破壊
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