第7話 疑惑は確信に
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る通信機は正常に作動しているし、他の仲間の通信機が一斉に壊れるのも明らかに不自然だ。
「もしかしたら敵の通信妨害じゃないの?」
アリアがふとそんな事を呟く。
「…可能性はあるな」
そう呟き、今度はクルト自身の通信機の電源を入れる。そして、アリアの通信機に繋げ、適当な言葉を言った。
「聞こえるか?」
『聞こえるか?』
クルトが言った言葉が、アリアの通信機からも聞こえてきた。
どうやら通信機は生きているようだ。
「少なくとも建物内部では通信機は生きているらしいな」
「じゃあ部分的に通信機が使えない所に閉じ込められてたり!」
「いや、そんな所にあれだけの実力者達が閉じ込められるわけがない。仮に閉じ込められてもレズリーのジジイがいればぶっ壊せるだろ。…最悪建物ごと」
「そ、それもそうね」
レズリーなら難なく実行しそうなクルトの説明に、アリアは苦笑いを浮かべた。
結局、二人は建物内部を探る事にした。
ただでさえ混乱している中で戦力を分散するのは得策ではないと考え、一緒に行動するクルトとアリア。
並外れた気配察知能力を持つ二人は、至ってスムーズに進んでいく。そして、進むたびに二人の表情は驚愕に彩られる。
「な、なによ…これ…」
「………………」
目の前に広がるのは無数の―――死体。
無残に転がる死体は、既に死体とすら呼べない有様だった。
脳を撒き散らし、内臓をぶちまけ、床の隅には眼球とおぼしきものまで転がっている。正に虐殺の限りを尽くしたと言っていい光景に、そういった光景を見慣れていないアリアは口を押さえ、こみ上げる嘔吐感を必死に押し込める。
かつては暗殺を生業をしていたクルトも、この光景には流石に強烈な不快感を抱かずにはいられない。
「だ、誰よ、こ、こんなことしたの…」
混乱の極みに達しているだろうアリアは、そう呟く。
目の前の死体が全員犯罪者なのだとしたら、犯人は決まっている。にもかかわらずアリアがそう言ったのは、思考が停止している中での無意識下の発言なのか、それとも単に現実を直視したくないだけか。
クルトはその言葉に答えず、死体の中を更に奥に進む。
本当にこの中にいるのが全員犯罪者かどうか確かめる為だった。
(やっぱこの中に武偵はいないか…)
既に分かっていた事をあえて確認したのはクルトも本心では現実を否定したいのか。しかし現実から目を背けてはいられない。
「アリア、こいつ等を殺したのは間違いなくレズリー達だ」
「ッ……!!」
クルトの言葉に、アリアはショックを隠し切れないようで、唇をかみしめ僅かに俯く。そんな姿を見ながら、クルトは話を続ける。
「なんでレズリー達がここにい
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