Chapter.1 邂逅
7話「冒険者ギルドポルス支店 (2)」
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「ふむ。多分覚えた」
「分からなくなったら、その都度我々にお尋ねくだされば、御説明いたします」
そう言って渡されたのは、さっき血を垂らした鋼のギルドカード、それと銀色のブレスレットだった。ギルドカードを受け取ると、先程記載した内容が浮かびあがった。左上に大きくゴシック体で『F−』とある。これが今のアシュレイのランクらしい。
「それを手首に嵌めますと、いつでも好きな時に空間拡張の魔法が施された鞄を呼び出すことができるようになります。使用方法ははめた手首に意識を集中するだけです。魔法を扱える方なら、手首に魔力を集めるという言い方でもよいでしょうか」
「慣れるとちょっと離れた場所でも鞄の入口を空けることができるの」
今まで黙っていたユーゼリアが頭上1mのところに鞄を出し、一瞬にして消した。慣れるまで多少の時間はかかるようだ。
「なるほど」
「注意点ですが、ギルドカードは一度発行されると一ヶ月間は再発行できません。もし紛失された場合、再発行されるまでの期間はギルドの仕事を受けることができなくなります。ですので、なるべく紛失なさらぬよう心掛けてください。
そしてリングについてですが、こちらは大変貴重な品となっており、再度の供給には10,000リールの料金を頂きます」
「高い」
思わず漏れた言葉に、一瞬受付嬢が言葉に詰まる。左から突き刺すような視線が送られた。いや、だってユーゼリアが今までコツコツためてきたお金が、たった40回ギルドカード紛失しただけで全部パアになってしまうと思うと……いや、普通40回もなくさないだろうが……
「……空間拡張魔法のエンチャントは非常に高度な技術ですから。紛失された場合、中身の保障は致しかねますのでご理解ください。
ギルドは基本的に冒険者と依頼主双方の自由な意思を尊重し、その内容に関しては一切干渉しません。
また依頼遂行に伴い、当事者間で何らかのトラブルが発生した場合にも、我々は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。ただし、ギルド所属の冒険者が著しく人道に反する行為を犯した場合に限り、我々の粛清対象となりますのでご注意を」
「あいあい」
「それでは、冒険者アシュレイ=ナヴュラ様の御健闘を、お祈りいたします」
「そりゃ、どーもイダッ!」
ついに左からエルボーを喰らった。撃沈したアシュレイをひっつかみ、ずるずると引きずりながらユーゼリアが愛想笑いを浮かべる。そのまま2人はF系ランクの依頼ボードへとやってきた。
「もう、ちょっとは礼儀正しくしてよね」
「はいはい、ごめんなさイデデデデ! は、早く依頼を決めようか!」
「ええ、そうしましょ」
ヒリヒリする耳を押さえながら、
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