暁 〜小説投稿サイト〜
シャンヴリルの黒猫
Chapter.1 邂逅
6話「冒険者ギルドポルス支店 (1)」
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 ドアを開けて中に入ると、中はまさしく酒屋と言った様子だった。まだ昼前なのに、もう酒を飲んでいる者がいる。
 入って手前に丸テーブルなどがいくつもあり、左の方に酒屋カウンター。正面奥にはギルド受付カウンター。酒屋カウンターにいるおじさんとは違い、忙しなく動いている受付嬢達がいる。右の壁には、巨大なコルクボードがあり、所狭しと紙がピンで止めてあった。

「行くわよ」

「はいはい」

 茶色い髪の受付嬢はニコニコと人の良い笑みを浮かべて挨拶してくれた。俺の仕草から分かったのか、冒険者登録の方ですか? と聞いてくる。ユーゼリアが頷いたので、受付嬢は少々お待ちくださいと、奥に引っ込んでしまった。

「お待たせいたしました。では、こちらの紙に必要事項をご記入ください。何か不明な点がございましたら、お気軽にお尋ねくださいませ」

 そして受け取った紙とペン。名前と、職業(剣士とか、魔法士とか、そういうやつ)、年齢、性別、種族(人間種とか、エルフ種とか)、拠点の有無、などなど。

「んー、俺は……剣士…だな。で、22歳の男の人間…っと。あれ、拠点の有無って?」

「貴方の場合は、『無』に丸をつけて」

「はい。冒険者として旅をされる方は『無』。一つの町、つまり、ここの場合ポルスに留まり、ここでずっとクエストの受注をされる方が『有』に丸をつけて頂くことになっております」

 ふむふむと頷きながら、『無』に丸をつける。その他にもいろいろ尋ねながら、なんとか必要事項を書き終えた。

「では、このプレートに一滴で良いので血を流して頂けますか」

「はい」

 渡されたナイフは無視し、歯で唇を噛み切る。ぷくりと出てきた血を指ですくって、鋼色のプレートとやらに落とした。少し待つようにと受付嬢がまた引っ込むと、今度はそんなに待たずにまた戻ってきた。

「はい、アシュレイ=ナヴュラ様の冒険者カードが作成出来ました。使用方法としては、ご本人が手に持つだけです。御覧の通り、今は私が手にしているので何も表示されませんが…はい、ナヴュラ様がお持ちになりますと、このようにカードに冒険者としての情報が出るようになっております。仕組みとしては、体から発される微弱な魔力を感知することで、表示非表示が切り替わるというものです。……さて、次は冒険者様への注意事項を御説明させて頂きます。

 この度は冒険者ギルドと御契約頂きましてまことにありがとうございます。
 つきましては、幾つかの注意事項を事前に御説明させて頂きます。長文になりますが、これらの規約のいずれか1つでも破約されますと、ギルドへの罰金、或いは除名処分を致しますので、御容赦ください。

 まず、ひと月の納金義務についてです。

 我々ギルドで
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