第二十七話
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き考え込む。
「いや、それは俺が迷惑」
芝山としてはそんな羞恥プレイはごめんだった。尾津が耳元で「私が2人っきりの時にご主人様って呼んであげるよ」と囁いたが全力で聞こえない振りをした。
「……それで今回の話は、やま──」
「ナル」
先程までのハイテンション過ぎた気持ちも収まり普段通りに山田と呼ぼうとすると、当の山田がメガネの奥から責めるように見つめてくる。
「……ナル……ちゃん、お──」
その眼力に気圧されて言い直す。
「マコです」
尾津と呼びかけそうになる芝山は、切れ長の目より覗く深い色の瞳に射すくめられる。
「マコ……ちゃん?」
山田に対しては呼び捨てよりちゃん付けが良いかと思った柴山だが、尾津に対してちゃん付けはどうかと思う程度に冷静さを取り戻していたので、試しに疑問系で呼びかけてみると尾津は満足そうに首を立てに振る。どうやらちゃん付けが嬉しいようだった。
「うん、まあ今回の話は、ナルちゃんとマコちゃん。それに梅ちゃん全員が賛成しない限り受けたくないと俺は思ってるんだ」
照れくさそうに笑いながら、2人を2人をちゃん付けの愛称で呼んだが、これはこれで悪くないものだと認識を改める。
ちなみに梅木の事を梅ちゃんとちゃん付けの愛称で呼ぶことには、最初から何の感慨もなかった。
今回の士官候補育成計画に参加した場合、参加者はその国の公務員資格が与えられる。日本の場合は国家公務員となる。その上でニューワールド社に出向という形で処理される。
数年後には現状より権限が大幅に強化された国際連合に新設される機関の職員として採用されるとのことだが、社会人である参加者達には現在務めている会社を辞めて貰う必要があり、彼等はいきなりの前提条件に戸惑いを隠せないようだった。
現在は2010年代半ばから続く緩やかだが安定した経済成長の結果、現在は公務員よりも民間企業の方が給与水準が高い場合も少なくなく、更に去年から幾つもの重要な新技術実用化が続き、今後の経済成長への大きな刺激になることは間違いないだけに慎重にならざるを得なく、断る方向に気持ちを固める者が大半を占めたが、そもそもその新技術が連盟から持たされた地球外の技術であり、今後技術流入は加速し産業分野を含め社会の構造自体が大きく変わることになると説明されると、公務員としての安定性が魅力的に思えるようになってきた。
そして彼等の後押しをしたのは公務員としての基本給とは別に設定される高水準の手当の存在だった。それが結構……いやかなり美味しい。
通常の公務員の給与体系から支払われる基本給もそれほど低いレベルでは無い上に、予め申請したコアタイム以外時間、または土日・祝祭日の出動要請に応えた場合は時間外手当が無制限で支払われる。
それだけでもサービス残業に追われて疲れ果
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