第百四十七話 ヴァンフリートへの準備
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とのお約束を忘れずにラインハルト様を支えていく所存です。願わくば、ラインハルト様の苛つきが少しでも収まりますように。あまり酷いと、引きこもりたくなりますから。
■銀河帝国 オーディン 宇宙艦隊総司令本部
ラインハルトと、キルヒアイスがノルデン少将に連れられ作戦室へと向かった後の長官室で、エッシェンバッハとグライフスが話をしていた。
「閣下、あの二人をノルデン少将の下に付けましたが、本当の宜しかったのですか?」
グライフスが心配そうにエッシェンバッハに尋ねる。
「シェーンバルト大佐は、グリューネワルト伯爵夫人の弟と言う事か」
「お世辞にもノルデン少将は優秀とは言えません。しかもノルデン少将の部署自体がダミーの部署ですが……」
「判っておる。グライフス、これは他言無用だが、この事に関しては、恐れ多くも皇帝陛下も御了承済みだ」
「皇帝陛下が」
「あの者は、幼年学校を首席で卒業し、士官学校へも進まず任官した。どうも自分を天才だと思っているようで上層部批判が凄まじい、それに個人の武勲のみを求める気合いが有りすぎる。しかも正式な士官教育も受けておらん。あの様な者が武勲を立て艦隊司令官にでもなってみよ、部下の命など塵芥に思わぬ事になろう」
そう話すエッシェンバッハの眉間に深い皺が刻まれている。
「士官学校とは戦争のやり方を習うだけでは無いのですが、将兵の気持ちを判る事すら出来なく成る可能性があります。それでは将兵の無駄死にを増やすだけですから」
「確かに、以前であればそれも可能であったが、皇帝陛下の御心を知った以上は、将兵の無駄死には避けなければならんからな」
「そうですな。陛下の御心中を鑑みれば自ずと判る事なのですが……」
「思うに用兵家と言う者がどれほど度し難い存在で有るかと言う事を自覚できるかどうかだ」
「はっ」
「一将功なりて万骨は枯る」
「閣下、どの様な意味なのでしょうか?」
「陛下からの受け売りだが、一人の将軍が戦果を上げるには名もない1万の兵の屍が戦場に残されると言う、その為に、将たる者は兵の犠牲を考えよという、古代チャイナの戒めとのことだ」
「なるほど、身が引き締まる話ですな」
「その通りだ、司令官とはどれだけ効率よく味方の兵を殺すかを考えるのが仕事だ」
「参謀長たる小官も同じ事です」
「兵士たちの死の上に将としての名声が成り立っている。先頃の謁見で陛下が仰った。『あの者にもその事を理解してほしいと思う』と」
「シェーンバルト大佐のことですな」
グライフスの言葉にエッシェンバッハが大きく頷く。
「うむ、陛下のお言葉だ。『寵姫の弟と言えども前線では特別扱いは無用』と」
「なるほど」
「その為に、ノルデン少将の元に配属させたのだ」
こう話
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