フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第四十六話 剣士という生き物
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「さて、と。どうする、まだやるか?」
「・・・あと一つだけ聞かせてくれ」
「いいよ」
「たとえ居場所が分かったとしてもあれだけのナイフを避けることは難しいはずだ。なのに、なぜ?」
避けられたんだ?と聞くシェイドにソレイユは一拍置いて答えていく。
「・・・ナイフってのは急所を狙わない限り殺傷能力は低い。だから、おれの急所を狙ってくるわけだから、かえってタイミングがとりやすかった」
「・・・・・・そうか」
それからシェイドは何もしゃべることはなく、ソレイユも何も語ることはせずに刀を鞘から抜き、シェイドの首筋に添える。シェイドは負けを認めたようで抵抗らしい抵抗を見せない。ドロシーが止めに入ろうとするがルシフェルに止められている。
ソレイユは目を瞑り少しばかり間を置くと、目を開き刀を振りかぶり、シェイドの首めがけて振り下した。しかし―――
ガギィンッ
それはプレイヤーに攻撃がヒットした音ではなく、金属同士が奏でる音だった。予想外の人物の介入にソレイユは少しばかり驚いた。
「意外な乱入者だな・・・どういうつもりだ?」
受け止められた刀を引き、数歩下がりながら乱入者であるステラに問い掛ける。問い掛けられたステラは不敵な笑みを浮かべそれに答える。
「君の戦いをみとったら疼いてしもうたんよ」
「・・・・・・」
何が、とはソレイユは問い掛けなかった。ステラが言いたいことは十分に理解できたからだ。
「・・・で、どうしたいの?って聞くのは野暮か・・・」
「そうやね。同じ剣士ならわかるやろ?」
「ああ。痛いほどな」
二人のやり取りを近くで見ているシェイドは状況があまり理解できてないらしく、呆然としていた。そんなシェイドにソレイユは言った。
「一つ貸しな、シェイド」
「・・・・・・わかった」
しぶしぶといった感じで頷いたシェイドはルシフェルとドロシーのもとまで歩いていくと、二人同様にソレイユとステラを見据える。
「なぁ、ドロシー・・・」
「なんですか、ルシフェル?」
「あのステラって娘はどの程度だ?」
「現段階のウンディーネの中で言えば、近接戦闘ではトップクラスの実力ですね」
「へぇ〜」
ドロシーの言葉にルシフェルは感心したように声を上げる。
「そういうことならなかなか見ものだな、この戦い」
先ほどのソレイユの実力を見て恐れるどころか自分から剣を交えようとするなど考える者は少ないだろう。しかし、圧倒的な実力を見た直後であっても、ああして果敢に挑んで行ける精神を持つ者も今時のこの世界には珍しい。そこで、ルシフェルははたと思いだしたことがあった。
「そういえば・・・」
「・・・?どうしました?」
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