フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第四十六話 剣士という生き物
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う(傷自体はすぐに消えた)。
体勢を立て直すためにステラは支援魔法の効果を生かし、いったん距離を置き相手を見据える。
「らしくねぇ・・・ホントらしくなさすぎだ」
距離を置いたステラなど関係なしにソレイユは、刀を握る手に視線をおとし、そう呟く。その言葉には自嘲が含まれていた。
「ったく、“わたし”はいつから驕れるほど強くなったんだってんだよ・・・」
ソレイユから何かがにじみ出てくる。静謐で、荘厳なそれは向かい合うだけで、目にするだけで人々を威圧する。“闘気”とも取れるそれは強大な威圧感を感じさせながらソレイユから立ち込めている。それを見た四人は今度こそ絶句する。
なんだ、これは。四人の表情がそう物語っていた。
これは、≪ソードアート・オンライン≫において、頂に立つと称された三人の頂点が使用していた技術である。仮想世界に“闘気”というのは実のところ存在しない。では、なぜソレイユたちのようなことが起こるのか。それを一言で説明するならば“情報圧”である。この仮想世界で過ごしてきた時間、戦いに身を置いた時間などがそのプレイヤーの情報となって相手を威圧しているのである。
だが、SAO帰還者のように二年間も仮想世界で過ごしたとしても、誰しもがソレイユのように情報圧を具現化させることは不可能である。なぜなら、ただ過ごしてきたというだけではそれを具現化するには至らないからだ。ならば、キリトやアスナやルナのような強敵と戦い続けた攻略組なら情報圧も放てるのではないか、という疑問が当然浮かんでくるが、その答えはイエスでありノーである。その理由は自分の内にあるものを外に吐き出す方法を知らないからである。もし、その方法がわかれば、ソレイユまでとはいかないまでも彼ら彼女らも情報圧を放つことができるだろう。
仮想世界で過ごしてきた時間が長いほど、強敵と戦えば闘うほど個人が纏う情報は増し、それに比例して威圧感も増すのである。だからこそ、レジェンド・クエストやアポカリプスなどと言った常識では計り知れない強敵たちと闘っていたソレイユは強大な情報圧を纏うことができるのだ。
ならば、それを放つことができる者は全員がソレイユの様な静謐な雰囲気になるのかという質問も起こるだろう。結論から言えば、情報圧が放つ性質は個人によって異なる。その原因はその個人の性格にある。生活だろうと戦いだろうと必ず個性と言うものは存在する。それによりソレイユなら静謐な情報圧を、シリウスなら荒々しい情報圧を、ベガなら猛々しい情報圧を、といったように具現化するのである。画面越しのゲームではありえない、VRゲームならではの技術と言えよう。
数秒間、威圧されていたステラだったが、本気のソレイユを前にして驚くべきことを言い放った。
「すごい、すごいやん!」
邪気のない笑顔でソレイ
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