第百二十四話 憎しみの環の中で
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瞑目してからだ。娘に話した。
「よく決心してくれた」
「有り難き御言葉」
「これでアジバ家の血を汚さずに済む」
「いいえ」
だが、だった。ハルルはここでこう言うのだった。
「私はアジバ家の血統や名誉はです」
「そのことは考えていないのか」
「はい、それでカララを殺すのではありません」
それとは違うというのだ。そしてだ。
その理由をだ。燃え盛る炎と共に話すのだった。
「私は悔しいのです」
「悔しいというのか」
「そして憎いのです」
炎はいよいよ燃え盛っていた。
「カララが」
「あれがか」
「あの娘は好きな男の子を宿せました」
完全にだ。女としての言葉だった。
「しかし私はです」
「ダラムのことか」
「私はダラムの遺言さえ手に入れられませんでした」
自分で話すのだった。
「同じ姉妹でありながら」
「そう言うのか」
「はい、しかしです」
「しかし?今度は何だ」
「誤解なさらないで下さい」
「何を誤解するというのだ?」
「私の復讐」
それをだというのだ。
「ダラムの復讐ではなくです」
「我々のだな」
「はい、ロゴ=ダウの異星人全てへの復讐です」
復讐をだ。それにあげての言葉だった。
「その為に軍の指揮を」
「執ってくれるか」
「そうさせて頂きたいのです」
「無論だ」
ドバも娘のその言葉を受けて言う。
「では執ってもらおう」
「そうして頂けますね」
「何度も言うがだ」
「はい」
「私は御前を女として育てた覚えはない」
このことを今も告げるのだった。
「それではだ」
「はい、総司令閣下」
「吉報を待つ」
傲然とさえして娘に告げる。
「是非共な」
「はっ、それでは」
部屋を去るドバをバッフクランの敬礼で送る。それが終わってからだ。
ハルルは弱い顔になってだ。彼の名を呟くのだった。
「ダラム・・・・・・」
彼の名を。そしてだった。
「助けて・・・・・・」
一人になると呟くのだった。そうしたのである。
ソロシップの艦内ではだ。
プルとプルツーがだ。ルウをあやしながら笑っていた。
「何かこうしているとね」
「そうだな」
二人は笑顔で話していく。
「私達も何か」
「御姉さんみたいだな」
「そうだな」
その二人にだ。ハマーンが微笑んで話してきた。
「思えば私もだ。ついこの前までだ」
「あっ、ミネバちゃんをよね」
「育ててきたのよね」
「そうだ。ミネバ様が赤子の頃からだ」
育ててきたというのだ。
「思えば懐かしい話だ」
「そうなのか。ハマーンさんにもそういった時があったのだな」
今度はナタルが来て話す。
「それは今もなのか」
「そう。今もだ」
それを否定しないハマーンだった。
「私は
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