第百十八話 死んだ筈の男
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も言った。
「それで一人グダグダってね!何やってんのよ!」
「僕は」
「シンを見なさい!」
まず言うのは彼だった。
「ステラちゃん助け出す為に必死に戦ったじゃない!」
「彼が」
「そうよ。タケルさんだってね!」
次は彼だった。
「マーグさんの為にどれだけ耐えたのよ!そして戦ったのよ!」
「そうだった、あの人も」
「一矢さん見て何も思わなかったの!」
最後は彼だった。
「あれだけ一途に!エリカさんの為に戦って!」
「そうしてあの人達は」
「そうよ!掴み取ったじゃない!あの人達みたいにやってみせなさいよ!」
「僕も。あの人達みたいに」
「そりゃあんたあの人達みたいに立派じゃないわよ!」
何気にだ。シンも認めているアスカだった。
「それでもよ!ここで逃げてどうするのよ!」
「逃げない。僕は」
「逃げるんならあたしが今ここで殺してあげるわ!」
牙さえ出しかねない勢いだった。
「さあ、どうするのよ!」
「僕も。あの人達みたいに」
「もう一度言うわ」
ミサトがまたシンジに話す。
「あの時の言葉をね」
「あの時の」
「ええ、今の自分が絶対じゃないわ」
言う言葉はこれだった。
「後で間違いに気付き、後悔する」
「それがでしたね」
「ええ、私はそれの繰り返しだった」
己のだ。人生も話すミサトだった。
「ぬか喜びと自己嫌悪を重ねるだけ」
「それでもでしたね」
「ええ、その度に前に進めた気がするわ」
この言葉をだ。またシンジに話すのである。
「だからね。貴方は今は」
「僕は」
「もう一度エヴァに乗って」
こう告げるのだった。
「そして終わらせてきて」
「今のこの戦いを」
「ケリをつけてきて」
こうも話すのだった。
「エヴァに乗っていた自分に」
「その僕に」
「そして何の為にここにいるのか」
そのことも話すミサトだった。
「今の自分の答えを見つけてきて。それでね」
「それで?」
「終わらせたら戻ってくるのよ」
こうもだ。シンジに話すのだった。
「ここにね」
「ここに」
「そう、ここにね」
ここでは微笑んで話すミサトだった。
「戻って来て」
「いいわね、馬鹿シンジ!」
アスカがまた彼に言う。
「皆もう出るわよ!」
「そうだね、じゃあ」
「ええ、行くわよ」
「わかったよ。じゃあ」
シンジはだ。話すのだった。
「全ての決着をつけに」
遂にだ。シンジも決意したのだった。
「僕達とエヴァと父さん」
こう話してだった。
「その全てをはっきりさせる為に」
「ええ、行ってらっしゃい」
ミサトは微笑んでだ。そのシンジを見送ったのだった。一つの運命がだ。また終わろうとしていた。
第百十八話 完
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