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帝国陸軍2-シルバSide-
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なかったのだと思う。

 そして、そう判断したのならば、シミュレーション内で月詠は一切の手加減をしてこない筈。此方も最初から本気で行かなければ負ける可能性がある。相手は斯衛軍16大隊指揮官。恐らく唯依中尉よりもその腕は確かなものだろう。

「ああ。それで構わない」

 月詠の了承も得られたので、そのままシミュレーターに乗り込み、主電源を入れ、戦術機の設定をし、シミュレーション開始の合図まで互いに無言の時を過ごす。

 そしてシミュレーションの合図が鳴ると同時に、俺は先程同様、最高出力を持ってして真ん中を割るように突っ切った。

 作戦なんてものは特に考えていない。この短時間で考える作戦なんて穴だらけで意味を成さない。ならば実力での真正面勝負を挑むしかないだろう。恐らくは月詠も小細工なしで真正面から来る筈。少ししか会話は交えていないが、あのプライドの高さならば俺の期待を裏切るような事はしないと思うが…。

「…来たか」

 そう思った矢先、レーダーに反応が現れる。方向は真正面。やはり向こうも同じ考えを持ってくれたようだ。

 問題は此処から。相手の動きを先ずは理解する。

 そう判断し、威嚇射撃の意味を込めて段々と姿が見え始めた不知火に発砲する。

 当然月詠には回避されるが、その回避ルートを瞬時に割り出し、その着地地点にもう左腕で構えていた突撃砲を発砲した。まさか回避先に撃たれるとは思っていなかったのだろう、跳躍途中に不可解な動きを見せたが、咄嗟の判断と動きにより空中で更に跳躍ユニットを噴かせ、此方に接近してきた。

 まさかこの一瞬で判断し此方に突撃して来るとは思っていなかったが、問題はない。

 此方に跳躍しながら撃って来る不知火の突撃砲をビルを盾にする事で避けながら、その間に突撃砲を長刀と切り替える。

 そして不知火が着地し、硬直した瞬間を狙い跳躍ユニットを最大出力にし一気に加速する。

 一気に加速した速度を緩める事なく、不知火に近付き長刀を横に振るう。

 しかし、月詠はこの硬直に俺が来る事を予測していたのか、まさか紙一重の絶妙なタイミングで戦術機をずらし、避けた。

 タイミング的には完璧だったため、こうも綺麗に避けられると流石に驚きを隠せないが、此方はまだコンボが続いている。一度目の横を避けてもその返しが待っている。

 そう思い、その場に留まり返しの長刀で一太刀浴びせようと思ったが、月詠はその返しを避けようとはせず、逆に突撃砲を此方に突き出してきた。

「っく!」

 返しの刀が間に合わないと判断し、すぐさま行動をキャンセル。撃震の状態を真後ろに逸らす。逸らすと同時に視界の全てを埋めるマズルフラッシュ。どうにか直撃は避けたが、胸部に少しの被弾を許してしまった。


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