第12話 水晶宮は何処に有る?
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に反応する事は有りませんでした。
そして、その黒猫本人は、まるで俺の言葉が理解出来たかのように俺の方を睨みつけたのですが、当然、ネコなので、何も語りかけて来る事は有りませんでした。
普通の黒猫ならば、これが当然の反応。
しかし、俺の傍ら。具体的には、俺の右側に立つ紫色の髪の毛を持つ少女の方が、その瞬間、少し微妙な気を発した。
具体的には、陽の気に分類される気配で、更に、視線をその黒猫から外そうとはしない。
この感覚は……。
「え〜と、有希。その黒猫が気に成るのなら、事務所内に連れて行っても構へんで。そいつは、ここの事務所の関係者や。連れて入ったトコロで誰も文句は言わへんから」
黙ったままで、ただ真っ直ぐに黒猫を見つめ続ける有希に、そう言ってやる俺。但し、これは俺が知って居る世界の、この探偵事務所に関係している黒猫の話で有って、この長門有希が存在して居た世界の探偵事務所の話では有りません。ただ、俺の見鬼の才が告げているのは、この黒猫の正体が見た目通りの黒猫ではない、と言う事実だけですから。
しかし、この黒猫が俺の知って居る黒猫の異世界同位体ならば、俺と有希。そして、万結がドアを開けて、この如何にも流行っていなさそうな探偵事務所に侵入したのなら、俺達の後ろにくっ付いて事務所内に入って行く心算だと思いますから、有希に対してそう言って上げただけです。
向こうの世界ではそうでしたからね。なので、これから先は、有希に抱かれて入ろうが、黒猫が自らのアンヨで入ろうが大して変わりは有りませんから。
その俺の言葉に、始めて俺の存在を思い出したかのように、俺の方を見つめる有希。
……って言うか、俺としては、かなりの精神的な衝撃を受けた反応。
今まで、何が起きたとしても、大して驚きもしなかった少女が、たかが黒猫が一匹現れただけで、そいつの方向から視線を逸らす事もなくじっと見つめるとは。
これは矢張り、可愛いモノは、ただそれだけで勝利すると言う事なのでしょうか。
……などと言う、非常にくだらない、更に意味もない事をつらつらと考えている俺の事を完全に無視した長門有希さんは、
俺の台詞を信用したのか、有希がそっと黒猫にその両手を差し出す。そして、その両の手が自らの前足の下の差しこまれても嫌がる素振りも見せずに、有希にされるがままにする黒猫。そうして、
有希に簡単に抱き上げられ、そうされる事がさも当然と言った表情で、彼女の腕の中に完全に納まった黒猫が、おそらくはかなり不満げな気配を発して居る俺の顔を真っすぐに見つめた。
勝利者の雰囲気を漂わせて。
……ソノのクセに生意気な。そもそも、オマエ、女の子やろうが。
そう考えた後、更に敗者の色の濃くなった視線で、紫の少女と黒い猫を見
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