第12話 水晶宮は何処に有る?
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は有りません。
ただ、彼女から俺が感じた雰囲気は、明らかに人工生命体。その様な存在は、俺の暮らしていた世界にも、そう多くは居なかったと記憶して居るのですが。
ゆっくりと開くドアの先には、矢張り、紅い瞳で、俺を真っ直ぐに見つめる少女が存在していた。
「ここに来たと言う事は、俺か、それとも、有希の方に用なのか」
もしくは、その両方に用が有るのか。
尚、ここ、長門有希の部屋は複数の存在に監視されて居る以上、彼女がフリーランスの退魔師でない限り、神代万結がここに現れる事は可能でしょう。
俺の問い掛けは聞こえたはずなのですが、さして広くのない玄関から、俺の横を通り抜けてリビングの方へと入って行く万結。
当然、ほぼ無視された状態の俺は、玄関に置いてけぼり。
……俺って、馬鹿?
慌てて神代万結と名乗った少女を追って、リビングに踏み込んだ俺の目の前に存在して居たのは、静寂の妖精に支配された舞台で繰り広げられる蒼と紫の共演で有った。
先ほどまで、俺が座っていた長門有希の対面側のコタツの一辺に陣取り、彼女を真っ直ぐにその紅い瞳に映す万結。
その意外に鋭い視線に気圧される事もなく受け止め、逆にその憂いを湛えた瞳に、万結を映す有希。
一応、来訪を告げるインターフォンを押した以上、彼女の方に俺達……有希に対して敵対する意志はないはずです。
それならば、
「そうしたら万結はお茶で良いか。それともコーヒー?」
そう聞いてみるのですが、有希の前にはお茶が出されているので緑茶の方が用意は楽ですし、俺自身がコーヒーをあまり飲まないので、コーヒーを注文されると、上手く淹れられる自信はないのですが。
有希の隣に立ってそう聞く俺に視線を移した万結が軽く首を横に振る。そして、
「ついて来て」
自らの右手を差し出しながら、そう伝えて来たのでした。
但し、見事に意味不明。更に、メチャクチャ唐突な台詞だったのですが……。
☆★☆★☆
俺の良く見慣れたアーケードと平行するように走る大通りを、駅から遠ざかるように歩く事しばし。昼間には絶対に営業していない、昼間に遭遇すると蛾。夜の闇を纏うと蝶になるお姉さん方のお勤めに成る店舗群を横目にしながら角を右に曲がり、超有名な女流作家の名字と同じ店舗の直ぐ近くに、その探偵事務所は存在していた。
もっとも、この手の繁華街に通っている裏通りに相応しい、ゴミゴミとした、どう考えても流行っていない雰囲気の探偵事務所だったのですが……。
何と言うか、安っぽい舗装が施された路面には、何かよく判らない水分とも半分固形の流動物とも言うべき不気味な物質をぶちまけたような跡がそこかしこに存在し、その舗装された道路の端に存在する小さ
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