Chapter.1 邂逅
2話「蒼き森の神殿」
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かった。
「……ぁっ」
立って逃げなければと思ったが、あまりのショックと恐怖、目の前の竜が放つ圧倒的な存在感に、腰が抜けた。じりじりと後退しながら、どうかこの竜が自分の事を見つけないように居てほしいと祈るばかり――が、長い長い間『狭間』に閉じ込められ、出てきた途端にい沸いて出るこの空腹感の前で、目の前に転がる柔らかそうな少女を食べずに素通りするほど飛竜は甘くはない。何度か羽ばたきを繰り返すと、黒光りする甲殻に覆われた頭をこちらに向けた。横についている赤い目が、ぎょろりとこちらにむけて焦点を合わせる。
ついにがたがたと震えだした足腰は、もう後退することすら無理にさせていた。
「ギシャァァァァアアアッ!!!!!」
再び頭がくらくらしそうな叫びを上げると、一気に少女の元まで滑空する!
「いやあぁぁぁ!!!」
「ちィッ」
思わず絶叫した時、誰かの舌打ちが聞こえた気がした――その途端。青い広場に赤い血がまき散らされた。
少女の物ではない。彼女はまだ、肩で息をしながら、それを茫然と見ている。が、やがてぱたりとその上半身を蒼大理石の上に沈めた。
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