Episode5:つまりはチート
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命令を与える』能力。だが、その特殊な命令を与える能力は、彼の父の場合はとても微弱なもので、通常の技術化された、『加速』『加重』『移動』『振動』『収束』『発散』『吸収』『放出』の8種類16パターンしかない。
対して彼の母親は、通常の魔法の命令が与えられないのに反して、別の特殊な命令をサイオンに下すことができた。例えば『持続』や『永続』そして『消失』などだ。
全ての特殊な『魔法』は遺伝的な継承が多い。九十九隼人は、両親のBS魔法をそのまま受け継ぎ、更に己の魔法として、『炎』『雷』『氷』等の自然現象を引き起こす命令を下すことができるようになっていた。だが、彼の魔法の場合は、火種がなくても火を、高温の状態でも氷をつくり出してしまう。故に、彼は彼自身のオリジン魔法を使うことは滅多にない。
隼人の『本気』。それは、いつもは隠しているオリジン魔法を使うということだった。
キョトンとする鋼を余所に、隼人は空間に『雷』を命じた。なにもない空間で、黄金の雷がバチバチとスパークする。だが、普通ならばここで雷は消えてしまう。サイオンに干渉するとはいえ、それは世界の法則、つまり、雷の性質を無視するということはできない。電気はなんの障害もなく停滞することは有り得ない。だが、隼人の雷は消えることなく、隼人の周りをずっと蛇のように停滞している。これは、母方のBS魔法『持続』の力だった。持続はその通り、魔法の効力を持続させる魔法だ。ただ、改変したサイオンで同じ魔法を使うことはできない。だから、周囲のサイオンを改変させて新たな雷を作り出す。それを繰り返すうちに、改変されたサイオンは自ら元の情報体に戻る。元に戻った、ということは改変させられる前に戻ったということ。改変されていないサイオンには再び命令を下せる。『それを繰り返せ』という命令をサイオンに下すことが『持続』の正体だ。
そして最後に、隼人は『持続している雷』に『纏』を命じた。
『纏』とは、対象の物体、自然現象などを纏うということだ。隼人が纏ったのは『持続された雷』。
雷を己に纏わせることで肉体と脳に微弱な電気信号を送り、身体能力と反射神経を飛躍的に増大させるこの魔法は、九十九家では『雷帝』と呼ばれている。
相対する鋼が、ゴクリと生唾を飲み下した。こうなれば、いくら近接で長けている鋼であろうと苦戦以上の戦いは免れない。
「さて…行くよ、鋼」
「まったく…エグいなぁ……隼人は」
笑みを浮かべた瞬間、二人は地面を蹴っていた。だが、肉体活性した隼人の方が鋼より数倍速かった。目の前にいたはずの隼人の姿が、消える。そう認識した刹那には鋼は大きく、着地のことは考えずに飛んでいた。直後に落ちる隼人の踵落し。だが
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