第三世代ユキカゼ型駆逐艦ソヨカゼV39
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ょろながと思っていたんですが、いまや立場は逆です。
存分にこき使ってください」
「久しぶり。パトリチェフ大尉。
また、よろしく頼お願いします」
船というのは一隻で一つの独立形態をとる為、船長というのは出世の登竜門であると同時に小さな閉鎖社会の頂点に君臨する事になる。
その為、実務を預かる副長、航路や操舵を担当する航海長、兵器全般を担当する戦術長などの担当士官とその下の兵士30人と機械兵50人の運命を背負う事になる。
とはいえ、ヤン少佐はそのあたりの選定をまったくする事無く、この艦を預けられたのだから『730年マフィアのお気に入り』と陰口を叩かれても仕方がない。
「少佐。お久しぶりです。
従卒としてまた少佐の為に紅茶を入れられるとはうれしい限りで」
パトリチェフ大尉の後ろで敬礼していたのは、チャン・タオ上等兵。
チャンの階級章を眺めたヤン少佐は、あの事件の関係者が軒並み出世して集められた事をいやでも悟らざるを得ない。
『730マフィアのお気に入り』というよりていのよい懐柔ではないだろうかと。
「エコニアは変わったかい?」
ブリッジに歩きながらヤン少佐は二人に話しかける。
そして、二人の言葉からエコニアの近況を知る。
「あのお方の推進された緑化計画はこの間終了宣言が出ましたよ。
人口は百万を超え、アンドロイドやドロイドの研究開発・生産拠点としてますます栄えるでしょうな。
男爵ウォリス・ウォーリック提督も生前何度も足を運ばれて、あの星がああなるとは今でも信じられませんよ」
「新しい収容所所長に変わって、あの収容所も閉鎖が決まったそうです。
最近は捕虜をフェザーンに送る事でただ飯食らいを減らそうと政府が動いてましたからね。
緑化も終わり、ドロイド産業がある今となっては捕虜収容所もいらないという事なんでしょうな」
ヤン少佐がこんな所を歩くきっかけとなった、惑星エコニアの捕虜収容所の汚職事件。
世間には、捕虜の反乱未遂として知られているが、その本質は実はどれとも違う。
歴史家を目指していたヤンが開けられるのを待っていたパンドラの箱を開けてしまった結果から起こった、人形師の罠に絡め取られたというのが真相に近い。
「しかし、なんで船長なんかを?
変り種とはいえ、防衛大学校の戦略研究科を出たのならばそのまま参謀コースに乗れば良かったのに」
パトリチェフ大尉の言葉にヤンが苦笑して答える。
「私も楽ができる退役コースを探したんだけどね。
そこのお姉さまにはねられたんだよ」
「失礼です!
お姉さまじきじきのご指名なんですよ!」
戦史研究科卒業生が防衛大学校の戦略研究科に入る事も異例だったが、その成績が極めて優秀だった事
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