第三話
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ならぬ時にどうすれば良いか、そのような状況事態を生みださないようにするにはどうすれば良いか、それを兄上は心に留め置かねばならない! 」
普段は子供らしく思われるような努力をしての話し方の演技をやめて俺は言った。
そんな俺の言葉や態度に茫然としているキュアンの虚を突いて槍を叩きつけた。
万全な体勢なら俺の攻撃などかすりもしないが、今はかろうじて受け止めたキュアンと力比べとなる。
並みの子供ならば細身の槍とて操ることは叶わぬものだが、俺とて槍騎士ノヴァの血を引く身、日頃の鍛錬も欠かしてはいないためか馬鹿力だけはあったようだ。交差した互いの槍の柄がみしみしと鳴る。
「卑怯と思うならそう思ってください。兄上と正々堂々戦って勝てるものなどおりませぬ。だが、卑怯な方法で陥し入れられた場合......」
俺は歯を喰いしばり、力比べの合間に言葉を続け、足もとの手頃な石を顔だけは狙わず蹴りつけた。
キュアンが飛来物に注意を逸らした一瞬を狙って槍を押すと、俺は後方に飛びすさった。
「俺のようなこんなつまらないやつでさえ勝負に持ち込むことが出来ました。
兄上と戦う者は正々堂々戦ってもかなわないから、正面からまともに戦わず全力を出せない場面を狙ってきます。不利な地形に追い込んだり、人質をとるなどです 」
イード砂漠超えをしてシグルド率いるシアルフィ軍に合流しようとしたキュアン率いるランスリッターがトラバント率いるトラキア軍の奇襲を受け殲滅されてしまう光景が頭に浮かんだ。
そのために、ここまで昂ぶってきた感情との相乗効果によってある感情が決壊した。
「覚悟を見せるなんて言って、やったことはただの卑怯な不意打ちだって兄上は失望なされたかもしれないけれど、俺は、俺は.......」
感極まってぼろぼろと、いったいどこからこんなに出て来るのだろうという涙が止まらなかった。
そうしてうずくまってしまった俺の傍らに兄はやってきて槍を放り投げた。
ぱしゃっ・・・と水に落ちたような音が聞こえたが意に介したふうもなく
「私の弟はつまらないものなんかじゃ無いぞ。」
そう言うとしゃがみこんだ。
「どんなことをしても父上や国を守りたいと言うお前の気持ちはよく伝わった。そして、わたしが戦う時は決して油断をしなければいいんだな。」
この上無く優しい声で言葉をかけてくれてから背中をトントンと叩いてくれた。
しばらくして落ち着いた俺が顔を上げると兄の後ろに信じられないものを見てしまった・・・
一度目をつぶって頭を振ってからまた目を開いてもそこには……
嘘だと思ってもそこには見覚えのあるアイツがいた。
俺と目が合うと
「ちょっとー、わたしちゃんの泉に槍
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