第三話
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くなったんだ。そしてそれをグランベルからの公使に気が付かれてしまってね。任期切れで自分がグランベルにもうじき戻るので共にグランベルへ・・・ってね。」
俺はなるほどと思いながら、すぐに言わねばならないことを口にした。
「あにうえ、聖痕のこと、おめでとうございます! 」
出来る限り嬉しそうにそう言って抱きついた。
だが、士官学校の件は嬉しくなさそうだったので俺は真面目くさったと自分で思う表情をつくり
「しかん学校でのべんきょうはたいへんだとおもいます。せめて、あにうえがるすの間のしんぱいをおかけしないよう、ちちうえやせんせいの言いつけをまもります 」
俺は体を離すと片膝をついて
「そして、わたくしのことばだけではなく、かくごを見ていただきたいです 」
すっくと立ち上がった俺は護身用に持たされている細身の槍を持つと革で作られた先端のカバーを紐できつく結びなおし、さらに、実戦に近いとされる訓練の際に装着される木製のカバーをかけ、布袋と革紐で厳重に縛り、身構えた。
もしかしたら、これがキュアンと親しく話せる最後の機会かもしれない。
王室間の政略の駒として俺はどこかの入り婿として出されてしまい、キュアンが戻った時にはもう他国の身かもしれない………
ゲーム本編でキュアンの兄や姉、弟や妹が現れないのはレンスター周辺国と限らないがどこかに遣られていたのかも知れない。
そう思うと伝えねばならないことを伝えねばという気持ちが俺の心を駆け巡った。
うなづいて同じように支度をしている兄王子を見ながら稽古をつけてくれた日々を思い出していた。
大抵の場合、教官の掛け声に続いて練習用の槍を振り上げては振り降ろし、基本の足捌きを繰り返すという地味なものばかりで試合のような形式での訓練は週に1度あるかないか、そしてそれはとても短時間でしかなかった。
忍耐力や持久力を養うという面で有用な訓練法であるのは疑いようは無いがひどくつまらなく苦しいものだ。
そんな中、遊びに連れ出してくれたキュアンとお互い木の棒などで打ちあうのは楽しくもあった。
帰りが遅くなって父王に叱られた時にはいつも俺をかばって自分が悪いからだと身を呈してくれた。
そんなふうに俺を本当の弟としてかわいがってくれたこの人にあんな死に方をさせてなるものか!
「ミュアハ、河原だと転んだら大怪我するかもしれないよ。土手のほうの平らなところへ移動してから
にしよう 」
という兄王子からの申し出に対して、俺自身が先ほど口に出したように一つの覚悟を決めた。
「生意気と後から罰を受けても構いません。
ですが、今は申し上げます!
ひとたび戦いとなったらそのように好きな場所を設定出来るとは限りません。
不本意な地形で戦わねば
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