第百話 捕虜解放
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「俺は自然とバッフクランの奴等を憎いと思わなくなっているんだ」
そのことにだ。今時分でも気付いたのである。
「不思議な話だよな、この俺が」
「何、全く不思議ではないぞ」
「そうなのか?」
「そうだ。全く不思議ではない」
また言うグン=ジェムだった。
「わしにしてもだ。変わった」
「そういえばおっさんは最初の頃は」
「ギガノスの汚物と言われてな。暴れ回ったものよ」
顔を崩してだ。こうコスモに話すのだった。
「随分とな」
「けれど今はここにいるよな」
「このロンド=ベルにな」
「それが変わったってんだな」
「今ではわしもあの小僧達と共に戦っている」
「ケーン達か」
「そうだ、あの小僧達とな」
親しみを込めてだ。ケーン達をこう呼ぶのだった。
「戦っている。共にな」
「かつては敵同士でもか」
「それと同じだ。イデオン自体がそうだな」
「ああ。カララさんにギジェに」
二人の顔がだ。実際にその瞼に浮かぶ。
「バッフクラン人ともな」
「そういうことだ。同じなのだ」
「そうだってんだな」
「これで話がわかったな」
「ああ」
コスモはグン=ジェムのその言葉に頷いた。
「そういうことなんだな」
「そうだ。ではだ」
「では?」
「どうだ、飲むか」
豪快にだ。笑っての言葉だった。
「そうするか、今から」
「おいおい、ここで酒かよ」
「何だ?飲めないのか?」
「いや、好きだけれどな」
ロンド=ベルで酒を飲まない人間はいない。見事なまでにいない。
「それでも。今はな」
「敵が何時来るかわからないからか」
「そうだよ。だから酒はまずいだろ」
「わかった。では酒はなしだ」
「何か食うんなら別だけれどな」
それはいいというのである。
「それで何を食うかだけれどな」
「豚の丸焼きがあるぞ」
これまた豪快な料理であった。
「どうだ、一気に食うか」
「おい、また凄いボリュームだな」
「戦いだからこそ食う。違うか」
「それはそうだけれどな。それでも」
「何だ?足りんか?」
豚の丸焼きでだ。こう言うのであった。
「では牛の丸焼きだな」
「っておい、大きくなってるのかよ」
これにはコスモも驚く。
「おっさんどんだけ食うんだよ」
「だから言っているだろう。食わんとだ」
「戦えないっていうんだな」
「そうだ。だから食うぞ」
「ラーメンか何かにしないか?」
コスモが言う料理はそれだった。
「そんな豪快なのは今はな」
「駄目だというのか」
「ああ。ちょっとな」
「そうだな。ラーメンも悪くないな」
グン=ジェムもだ。それで頷くのであった。
「ではだ。十杯程食うとするか」
「量は変わらないんだな」
「だから言っているだろう。食わないとだ」
「戦え
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