6部分:第一幕その六
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にも幾らか」
「わかってるさ」
人懐っこい顔を見せるフィガロに心得た笑顔で応える。
「それじゃあまずはこれで。しかし」
部屋を出ながらちらりとロジーナを見る。まだ彼を熱い眼差しで見ている。
「何という素晴らしい恋の炎。私を焦がして私以上のものにしてみせる」
「金貨のじゃれつく音がもう聞こえる」
フィガロもフィガロで言う。こちらはお金だった。
「何といういい音だ。それが目の前に」
「私の心に染み透る神の恵み。これこそが私を燃やし尽くして私以上のものにする」
「ポケットに落ちるその金貨。それがおいらをおいら以上のものにしてしまう」
そんなことを呟きながら二人は消えた。そうして部屋にはロジーナ一人になったのであった。
「この心の中に一つの声が響き渡って私を傷つけた」
一人になった彼女はうっとりとした顔で呟く。
「傷つけたのはリンドーロ。それを許す方法はただ一つ、リンドーロを私のものに」
彼女も彼女でそれを願うのだった。心から。
「それをきっと果たすわ。バルトロおじ様は反対しても何があろうとも」
言いながら手鏡を出す。そうしてまた言うのだった。
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