第九十二話 イングラムの心
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「戦略目的は達した」
キャリコの仮面は何時しか割れていた。だがエイスはその素顔を見てもだ。全く動じずそのうえでこう彼に言うのであった。
「だからだ」
「わかった、それではだ」
「撤退するぞ」
「また会おう」
キャリコはクォヴレーに忌々しげに告げた。
「それではな」
「その次に会った時代にだな」
「貴様を倒す。必ずだ」
こう告げてだ。彼は自身が率いる軍と共に撤退した。第三陣との戦いもこれで終わった。それで、であった。
皆クォヴレーに対してだ。口々に声をかけて言うのだった。
「まさかな」
「クォヴレーがイングラム少佐だったなんてな」
「そんなことになってたなんてな」
「これは考えなかったからな」
「俺も今わかった」
クォヴレー自身もこう話す。
「そのことがな」
「そしてアストラナガンの力も得た」
「そうなんだな」
「そうだ」
このことについても答えるクォヴレーだった。
「だが。俺は今は」
「今は?」
「今はっていうと?」
「俺の為すべきことがわかった」
こんなことも言うのだった。
「それもだ」
「それもだって」
「それは一体何なんだ?」
「為すべきことって」
「つまりは」
「番人だ。俺はそれだった」
こう仲間達に話すのだった。
「それがわかった」
「番人!?」
「番人っていうと」
「それって」
「それはまたわかる。だがあの男は倒す」
キャリコのことである。
「必ず」
「ああ、それは頼んだぜ」
「本当にね」
アラドとゼオラがその彼の言葉に応えてきた。
「それが御前のやらなくちゃいけないことの一つだろうからな」
「だから自分でね」
「そうさせてもらう」
クォヴレーは二人に対しても表情を変えずに述べた。
「俺のこの手であの男は」
「あいつもやっぱり」
「イングラム少佐みたいだけれど」
「そうだ、あの男もだ」
実際にそうだというのだった。
「そうした意味で俺と同じだ」
「やっぱりな。そうなんだな」
「クォヴレーと。だから」
「俺達は同じだ。だが違う」
ここでだ。クォヴレーはこうも言った。
「俺とあの男は違う」
「その通りだ」
レーツェルが彼のその言葉を認めてきた。
「君は確かに彼と融合した」
「それでもだな」
「しかし君は君だ」
こうクォヴレーに話すのだった。
「それは間違いのない事実だ」
「だから俺は」
「君は君の意志で動くことだ」
これがレーツェルの言うことだった。
「わかったな」
「わかった。それではだ」
「ああ、それじゃあ」
「またこれからもね」
「共に戦わせてもらう」
クォヴレーからアラドとゼオラに述べた。
「それでいいな」
「ああ、勿論だよ」
「それじゃあね」
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