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セビーリアの理髪師
4部分:第一幕その四
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ていましたわ」
「御会いしたかったです」
 伯爵はフィガロを連れて恭しく挨拶をする。
「貴女に」
「私もです」
 ロジーナはにこやかに笑って伯爵に応えた。
「ずっと気付いていました」
「ずっとですか」
「はい。ですか機会がなくて」
 ここで悲しい顔を作って伯爵に見せてきた。
「ですが。今は」
「はい、こうして御会いできました」
 顔をあげ述べる。朗らかな顔で。
「これは神の御導きでしょう」
「そう。だからこそこの機会を上手く使いたいのです」
 ロジーナは伯爵の顔をじっと見て言うのだった。
「貴方のことを。知りたいのです」
「私のことをですか」
「そうです」
 ロジーナはまた伯爵に答える。
「宜しいですか?貴方のことを」
「どうする?」
 伯爵はロジーナの言葉を受けてフィガロに小声で囁いた。
「ここは正直に」
「いえ、ここは様子を見ましょう」
 フィガロはそう伯爵にアドバイスをした。
「様子を見るのか」
「そうです、今のところは。御身分も隠して」
「わかった」
 フィガロの言葉を受け入れて頷いた。

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